アビームコンサルティングは、日本企業の変革を長く支えてきた、日本発の総合コンサルティングファームです。戦略を考えるだけでなく、業務を設計し、システムを導入し、現場に定着するまで一緒に進める仕事を得意としています。

SAPをはじめとする基幹システムの印象が強い会社ですが、現在の仕事はそれだけではありません。経営戦略、新規事業、M&A、サプライチェーン、会計、人事、顧客戦略、AI・データなど、企業変革に関わるテーマを広く扱います。中途採用では、Strategy Consultant職とSolution Consultant職のどちらを選ぶかによって、入社後の役割も変わります。

この記事では、アビームコンサルティングの組織、強み、仕事内容、年収、働き方を整理し、中途採用の選考と面接対策まで解説します。

アビームコンサルティングとは?日本発の総合ファーム

アビームコンサルティングは1981年に設立されました。2003年にデロイトのグローバル組織から離れ、現在の社名へ変更しています。日本企業の本社と長く関係を築き、海外拠点を含む変革を支援してきた会社です。

2026年4月時点の従業員数は連結9,632人、2026年3月期の売上高は1,796億円です。自社の32拠点に加え、提携パートナーの約130拠点を使ってグローバル案件に対応しています。

項目 内容
会社名 アビームコンサルティング株式会社
設立 1981年4月
従業員数 9,632人(2026年4月1日現在、連結)
売上高 1,796億円(2026年3月期、連結)
自社拠点 32拠点
提携パートナー拠点 約130拠点

出典:アビームコンサルティング 会社概要

「Real Partner」に表れる仕事の進め方

アビームは、クライアントと長く歩む姿勢を「Real Partner」という言葉で表しています。経営計画を作って終わるのではなく、業務の変更、システムの稼働、社員への定着まで関わります。

日本企業の変革では、本社の方針を海外拠点へそのまま当てはめても動かないことがあります。国ごとの商習慣、制度、システムの違いを見ながら共通部分と例外を決める必要があります。アビームは、日本本社と各地域の間に入り、企業全体の変革を進める案件を多く手がけています。

アビームコンサルティングの組織と募集職種

アビームの事業は、採用上ではBusiness Consulting、Solution Consulting、BPOに分かれています。さらに、自動車、金融、通信、公共などの業界と、経営戦略、M&A、SCM、会計、人事、AI、SAPなどのテーマで求人を選びます。

Strategy Consultant職

企業の経営課題を整理し、進む方向と変革の計画を作る職種です。全社戦略、事業戦略、新規事業、M&A、サステナビリティ、顧客戦略などを扱います。

アビームの戦略コンサルタントは、構想を作った後に実行チームへ引き継いで終わるとは限りません。業務改革やテクノロジーのコンサルタントと一緒に、施策の実行まで関わります。戦略専門ファームよりも、実行の現場を見る機会が多い職種です。

Solution Consultant職

業務とテクノロジーの変革を担う職種です。サプライチェーン、会計・財務、人事、マーケティング・営業、顧客サービス、金融DXなどの業務を見直し、IT戦略、システム導入、運用まで支援します。

企業変革を担うEnterprise Transformation Business Unitでは、業界を横断し、業務改革とデジタルソリューションを組み合わせます。SAPを含む基幹システムの導入もこの領域に入ります。

出典:アビームコンサルティング Enterprise Transformation Business Unit

BPO職

クライアントの業務を継続的に運営しながら、効率と品質を高める仕事です。業務の移管、標準化、自動化、KPI管理などを行います。短期間のプロジェクトで提案する仕事とは異なり、日々の運営を通じて改善を積み重ねます。

コンサルタント職を志望する人は、求人の事業区分を必ず確認してください。同じ会計や人事の経験を生かす求人でも、変革の構想、システム導入、業務運営では仕事の性格が変わります。

アビームコンサルティングの主な仕事内容

経営戦略・新規事業・M&A

全社戦略、成長戦略、事業ポートフォリオ、新規事業、M&Aなど、経営陣が判断するテーマを扱います。市場と競合を分析するだけでなく、実行に必要な組織、業務、ITまで見通して計画を作ります。

事業会社の経営企画や事業開発で、計画を作った後に現場を動かした経験がある人は、アビームの仕事と重なります。面接では、提案内容だけでなく、反対する部門とどう合意し、何を実現したかまで話すとよいでしょう。

サプライチェーンとものづくり

需要予測、調達、生産、在庫、物流を一つの流れとして見直します。メーカーの工場や販売会社を含む案件では、現場の業務を理解しながら、計画と実績のデータをつなぎます。

システムを入れることが目的ではありません。欠品を減らす、在庫を適正にする、生産計画を早く変えられるようにするといった経営上の効果を決め、そのための業務とシステムを設計します。製造業、商社、物流の経験者が専門性を生かしやすい領域です。

会計・経営管理

連結決算、予算管理、管理会計、経理業務の標準化などを支援します。企業が海外へ広がると、拠点ごとに勘定科目や締めの手順が違い、経営判断に必要な数字がそろわないことがあります。

アビームは、経理業務の見直しと、ERPや連結会計システムの導入を一緒に進めます。経理・財務の実務経験、会計システム、海外子会社管理の経験がそのまま仕事につながります。

人事と組織変革

人事制度、タレントマネジメント、人材配置、HRデータの活用、人事システムなどを扱います。制度を設計するだけでなく、社員が使う仕組みへ落とし、運用を定着させます。

人的資本経営が注目されても、必要な人材の定義、評価、育成、配置がつながっていなければ成果は出ません。経営戦略から必要な能力を逆算し、人事の業務とデータを整える仕事です。

SAP・ERPとDX

アビームはSAPの導入で長い実績を持っています。30年近いパートナーシップがあり、業界に詳しいコンサルタントと、SAPの製品に詳しいコンサルタントが一緒に案件へ入ります。

基幹システムの刷新は、ITを新しくするだけの仕事ではありません。会社ごとに違う業務をどこまで標準化するか、長年使ってきた独自機能を残すか、人とデータをどう移すかという経営判断を伴います。大規模な案件を計画どおり進める管理力と、現場の意見をまとめる力が問われます。

出典:アビームコンサルティング SAPコンサルティング

アビームコンサルティングの強み

日本企業の変革を現場まで進める

アビームの顧客には、日本に本社を置き、海外で事業を広げる企業が多くあります。日本本社の意思決定の進め方を理解しながら、各国の拠点を巻き込めることが強みです。

外資系ファームが海外本社の方法を日本へ持ち込むのに対し、アビームは日本企業の状況から変革を組み立てます。時間をかけて合意を作る必要がある会社でも、誰を巻き込み、どこから変えるかを考えます。

戦略・業務・ITを同じ会社で担える

戦略チームが将来像を描き、業務の専門家が新しい仕事の流れを作り、テクノロジーのチームがシステムへ落とします。一つの会社でこの流れをつなげられるため、提案と実行が分断しにくい組織です。

働く側にとっては、担当する案件が長くなりやすい一方、計画が実際に使われるところまで見られます。数週間ごとに異なる経営課題を扱いたい人より、一つの変革を腰を据えて進めたい人に合います。

SAPを中心とする大規模変革の経験

アビームは、業務改革とSAP導入を組み合わせた大規模案件で知られています。会計、SCM、人事、営業など、会社の主要業務を同時に変える案件では、多くの部門と協力会社を動かします。

プロジェクト管理、要件定義、業務設計、データ移行、教育など、役割は幅広くあります。IT経験者だけでなく、業務側でシステム導入を主導した人にも転職の機会があります。

アジアを起点にしたグローバル体制

アビームは日本とアジアを基盤としながら、欧州のBearingPointとの提携やインド拠点の拡充を進めています。自社の拠点だけでなく、地域に詳しいパートナーと組んで案件を進める体制です。

日本企業の海外展開を支援する案件では、日本語で本社と議論し、英語で海外拠点や現地メンバーと進める場面があります。英語力に加え、国ごとの事情を尊重しながら共通の方針を作る力が求められます。

他の総合ファームとの違い

比較先 アビームとの主な違い
アクセンチュア アクセンチュアは世界規模とテクノロジー人材の厚さが特徴。アビームは日本企業との長期的な変革に強い
Big4 Big4は監査・税務・M&Aのネットワークを持つ。アビームは独立した総合ファームとして業務・IT実行に厚い
NRI NRIはコンサルティングとITソリューションを持ち、公共政策にも強い。アビームはERPを含む企業変革の案件が多い
ベイカレント ベイカレントはワンプール型で案件を移りやすい。アビームは業界・テーマ別の専門組織で経験を深める

総合ファームは扱うテーマが似ています。会社名だけで比べず、自分が応募する部門の主要顧客、案件期間、テクノロジー実装の比率まで見ます。

アビームコンサルティングの年収

アビームコンサルティングの平均年収は851万円です。

出典:OpenMoney

職位別の目安は次のとおりです。

職位 年収の目安 主な役割
アナリスト 500万〜650万円 調査、分析、資料作成、進捗管理
コンサルタント 600万〜850万円 担当領域の業務設計、顧客との実務調整
シニアコンサルタント 800万〜1,100万円 論点・作業計画の設計、若手の指導
マネージャー 1,000万〜1,400万円 プロジェクト管理、顧客責任者との合意形成
シニアマネージャー 1,300万〜1,800万円 複数案件の統括、提案活動
プリンシパル以上 1,700万円〜 顧客開拓、組織運営、案件の最終責任

年収は職種と採用職位で変わります。SAPや特定業界など、採用市場で不足している専門性を持つ人は、経験を評価されやすいでしょう。マネージャー以上では、実務の知識に加えて、チームの採算と人材育成、次の案件の提案まで担います。

アビームコンサルティングの働き方と社風

チームで長い変革を進める

大規模な業務・システム改革では、数十人から百人を超える体制になることがあります。自分の担当だけを見るのではなく、前後の工程と他チームへの影響を考えて仕事を進めます。

少人数の戦略案件とは別の難しさがあります。決めた期限と品質を守りながら、多くの関係者の認識をそろえなければなりません。大きなプロジェクトを動かした経験は、アビームで評価されやすい実績です。

中途入社後の研修

キャリア入社者も、入社直後にコンサルタントとして必要な考え方や仕事の進め方を学ぶ研修を受けます。採用サイトでは約10日間が目安とされています。その後は所属部門の研修と実務を通じて専門性を深めます。

出典:アビームコンサルティング キャリア採用FAQ

未経験で入社しても基礎を学ぶ機会はありますが、研修だけで仕事ができるようになるわけではありません。前職の業界・業務知識を持ち込み、プロジェクトの中でコンサルティングの型を身につけます。

忙しさは案件の種類で変わる

戦略案件は報告前に分析と資料作成が集中します。システム導入では、設計の締切、テスト、稼働の前後に負荷が高くなります。長期案件でも一年中同じ忙しさではなく、工程の節目に山があります。

中途採用の面接では、希望部門の平均的な案件期間、繁忙期、出社・客先訪問の頻度を聞いておくと、働き方を具体的に想像できます。

アビームコンサルティングに向いている人

日本企業の変革を長く支えたい人

経営層へ提案するだけでなく、現場と一緒に施策を進めたい人に向きます。関係者が多く、合意に時間がかかる場面でも、相手の事情を聞きながら前へ進められる人が活躍します。

業務とITの両方に関心がある人

業務だけ、システムだけに閉じず、両者をつないで考えたい人に合います。事業会社でシステム導入の業務側を担当した人や、SIerで顧客業務まで踏み込んだ人は、経験を説明しやすいでしょう。

一つの専門性を深めたい人

アビームは業界とテーマ別に組織が分かれています。会計、SCM、人事、SAP、金融など、自分の軸を持ちながら案件を重ねたい人に向いています。短い間隔でまったく違う業界とテーマへ移りたい人は、ワンプール型のファームも比較したほうがよいでしょう。

経歴別に見るアビームコンサルティングへの転職

事業会社の業務部門

営業、調達、生産、物流、経理、人事などの経験者は、現場の業務を知っていることが強みです。現状の手順を説明するだけでなく、どこに無駄や分断があり、自分がどう改善したかを示します。

システム導入の利用部門を経験した人は、要件を出しただけでなく、業務をどう変え、社員へどう定着させたかを話します。現場が使わない仕組みになりかけたときに立て直した経験は、実行支援を重視するアビームで評価されます。

SIer・エンジニア

システム開発、ERP、クラウド、データの経験者には多くの求人があります。プログラムや製品の知識に加え、顧客の業務を理解し、要件と優先順位を決めた経験を整理します。

上流へ移りたいという志望理由だけでは十分ではありません。なぜ業務と経営まで理解したいのか、技術だけでは解けなかった課題は何かを、実際の案件から話します。大規模なプロジェクトで、進捗、品質、協力会社を管理した経験も強みです。

経営企画・事業開発

戦略職を志望する場合、経営計画、新規事業、M&A、海外事業などの経験が接点になります。作った計画より、その後に現場へ落とした経験を詳しく話します。

アビームの戦略案件は実行部門とつながるため、施策の優先順位、責任者、KPIまで考えた経験が役立ちます。戦略専門ファームではなくアビームを選ぶ理由も、実行と定着まで関わりたいという自分の経験から説明できます。

他のコンサルティングファーム

同業からの転職では、現在の専門領域を深めるのか、隣接領域へ広げるのかを明確にします。Big4から移るなら日本企業との長い関係、SI系のファームから移るなら戦略・業務との接続など、アビームで変わる点を示します。

マネージャー以上では、案件を進めた経験だけでなく、提案、採算、人材育成も見られます。担当顧客との関係から次の仕事を作った経験があれば、具体的に説明します。

アビームコンサルティングのキャリア

若手は、調査、業務整理、資料作成、会議運営などを担当します。シニアコンサルタントになると、一つのチームや領域をまとめ、顧客の実務責任者と合意します。マネージャー以上は、案件全体の品質、進捗、採算、人材に責任を持ちます。

アビームには、コンサルタントとしてプロジェクトを率いる道と、特定の業界・ソリューションの専門家になる道があります。会計、SCM、人事、SAPなど、一つの領域で経験を積み、社内外から相談される専門家を目指せます。

入社後は所属部門の案件がキャリアの軸になります。別のテーマへ関心がある場合は、社内のプロジェクトや公募を通じて経験を広げます。会社の規模が大きいため選択肢は多いものの、希望だけで動けるわけではなく、現在の案件での評価と受け入れ先の需要が前提です。

退職後は、事業会社のDX推進、業務改革、経営企画、情報システム、ERP責任者などが主な選択肢です。長期の変革案件で、構想から稼働・定着まで担った経験は、事業会社で変革を主導する立場へ移るときに評価されます。

応募前に確認したいポイント

応募する事業区分と部門を確認します。Strategy Consultant職とSolution Consultant職では、同じ業界を担当しても仕事の入口が違います。ポジションマッチングを使う場合も、関心のあるテーマを具体的に伝えます。

次に、案件の実装比率を確認します。業務構想を中心にしたいのか、SAPなどの導入を長く経験したいのかで、選ぶ求人が変わります。求人名だけで判断せず、直近の代表案件を面接で聞きます。

オファー面談では、所属、職位、評価項目、想定する最初の案件を確認します。特にマネージャー採用では、プロジェクト管理だけでなく提案売上も期待されることがあるため、最初の半年で何を求められるかを把握しておくと安心です。

アビームコンサルティングの中途採用

キャリア採用は職種別です。希望する求人から応募し、書類選考、複数回の面接を経てオファーに進みます。ポジションによってWebテストがあり、Strategy Consultant職などではケース面接が行われることもあります。選考期間の目安は2〜3カ月です。

出典:アビームコンサルティング 選考プロセス

希望職種を決めきれない人向けに、Strategy Consultant職・Solution Consultant職のポジションマッチング枠もあります。同時に複数の求人へ応募することはできないため、第一希望を選び、関心のある別ポジションは応募時に伝えます。

書類選考

職務経歴書では、担当した仕事をアビームの求人へつなげます。システム開発の経験者なら、使った技術だけでなく、顧客の業務をどう理解し、どの課題を解決したかを書きます。事業会社の経験者なら、社内調整だけでなく、自分の提案と成果を分けて示します。

アビームの案件は実行まで続くため、長いプロジェクトを立て直した経験、現場の抵抗を乗り越えた経験、複数部門をまとめた経験が評価されます。

Webテスト

Webテストの有無は求人によって変わります。受検案内が来てから慌てないよう、計数と言語の問題は先に練習しておきます。

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面接とケース面接

通常の面接では、転職理由、アビームを選ぶ理由、応募職種を選んだ理由、これまでの実績を聞かれます。「日本発だから」だけで終わらず、Real Partnerとして実行まで関わる仕事と、自分の経験をつなげます。

ケース面接では、売上向上、業務改善、新規事業などの問題を考えます。アビームでは実行の現実性も見られるため、施策を挙げるだけでなく、誰が実行し、何が障害になり、どう効果を測るかまで話すとよいでしょう。

アビームのケース面接の流れと例題は、次の記事で解説しています。

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オファー面談で確認すること

オファーが出たら、職位と年収だけでなく、所属部門、期待される役割、想定案件を確認します。同じ職位でも、戦略案件とシステム導入では仕事の進め方が違います。入社後の評価項目と、最初の半年で求められる成果まで聞けると安心です。

複数の総合ファームを比較する場合は、応募部門をそろえて比べます。会社単位で年収や知名度だけを見るより、同じ業界・テーマのチームを並べたほうが、自分に合う環境を判断しやすくなります。

【2.5万文字】未経験から戦略コンサルに行くなら登録すべき転職エージェントのおすすめ・比較未経験から戦略コンサルを目指す人向けに、転職エージェントを求人、選考対策、ケース面接支援、実績などで比較。登録先の選び方を解説します。...

まとめ

アビームコンサルティングは、日本企業の戦略、業務、ITを一つにつなぎ、実行と定着まで支援する総合ファームです。SAPの強みに加え、経営戦略、M&A、SCM、会計、人事、AI・データなど、仕事の範囲は広がっています。

転職では、Strategy Consultant職とSolution Consultant職の違いを理解し、自分の専門性をどの案件で使いたいのかを決めます。計画を作った経験だけでなく、関係者を動かし、変革を最後まで進めた経験を伝えられる人は、選考でも強みを出しやすいでしょう。