コンサル業界では中途採用の枠が広がり、事業会社やSIerから転職する人も珍しくなくなりました。年収アップが見込めることや、さまざまな業界の経営課題に関われることは、コンサルならではの魅力です。ただ、入社してから、思っていた仕事と違ったと感じる人もいます。

こうした後悔の多くは、入社前に思い描いていた仕事と、実際に任される仕事とのずれから生まれます。たとえば、戦略を考える仕事のつもりで入ったのに、最初の案件がシステム導入の進捗管理だったというケースです。年収は上がったものの、職位に求められる役割が想像していたより重かった、ということもあります。

ずれが起きるところはある程度決まっていて、その多くは入社前の面接や社員面談で確かめられます。ここでは、コンサル転職で後悔する7つの理由と、コンサルはやめとけと言われる背景、入社前に聞いておきたいポイントをまとめました。

コンサル転職で後悔する7つの理由

後悔の中身は人によって違いますが、中途で入った人がつまずく点には共通するものがあります。代表的なのは次の7つです。

1. 担当できる業務のギャップ

コンサルのプロジェクトには、構想を描く人、要件を固める人、進捗と課題を管理するPMO、テストや移行を支える人など、いくつもの役割があります。求人票に並ぶDXや経営改革といった言葉からは、自分がそのどこを受け持つのかまでは読み取れません。経営課題に近いテーマを掲げる部門でも、中途入社者の最初の仕事がシステム導入のPMOになることはよくあります。

どの工程を担当するかは、部門の得意分野と、そのときに動いている案件で大きく変わります。中途入社者には前職の経験を生かせる案件が回ってくることが多く、SIerや社内のIT部門から移った人は、本人の希望とは別にシステム導入の案件に入ることになりがちです。

システム導入や実行支援の仕事にも、ほかでは得にくい経験があります。後悔につながるのは、事業戦略や新規事業の検討に関わりたくて転職した人が、進捗管理の仕事を何年も続けるような場合です。

2. アサイン希望の制約

コンサルの仕事は案件単位で進み、誰がどの案件に入るかは会社が決めます。多くのファームでは、スタッフィング担当(アサインを調整する担当者)やパートナーが、案件の需要、メンバーの稼働状況、職位、これまでの経験を見て人を割り当てる仕組みです。希望の業界やテーマは伝えられますが、人手の足りない案件が優先されます。面接で「希望は考慮します」と言われたら、希望を聞いたうえで会社が決める、という意味に受け取っておくのが現実的でしょう。

入社したばかりの時期は社内での実績がないので、そのとき空きのある案件に入るのが普通です。特定の業界でキャリアを積みたくて転職した人が、需要の多い別の分野の案件に続けて入ると、話が違うと感じることになります。

アサインには、上司からの指名で決まる面もあります。一緒に働いたマネージャーやパートナーから次の案件に声がかかることは多く、評価してくれる上司が増えるほど、希望に近い案件に呼ばれる機会も増えていきます。社内公募の制度を持つ会社もありますが、希望の案件に入れるかどうかは、制度の有無より、日々の仕事ぶりと上司との関係で決まる部分が大きいのが実際のところです。

3. 入社直後の立ち上がりの難しさ

入社後の数カ月は、研修、最初の案件、資料へのレビューと、慣れない場面が続きます。大手のファームの多くは中途入社者向けの研修や、先輩社員がコーチとして付く仕組みを用意していますが、研修が終わればすぐに案件に入ります。その先は案件の中で仕事を覚えることになり、誰がどこまで面倒を見てくれるかはチームによって差があります。

最初に戸惑うのは、多くの場合、仕事の進め方の違いです。事業会社では、十分に調べてから提案し、完成度を上げてから上司に見せる進め方が評価されることも多いでしょう。コンサルでは短い期間で仮説を立て、途中段階の資料を何度も直されながら仕上げていきます。専門職から移った人なら、知識を詳しく説明するより、顧客が判断に使える形にまとめて渡すことを求められます。

こうした進め方には、案件をいくつかこなすうちに、たいていの人が慣れていきます。

4. 職位と役割の期待値のずれ

中途入社では、前職の経験をもとに職位が提示されます。年収が上がっても、その職位に前職で上司がしていた顧客との折衝やチームの管理まで含まれているなら、待遇が良くなったというより、仕事が一段重くなったと考えたほうが実態に近いでしょう。マネージャーに近い職位になると、自分で分析する時間より、関係者への説明や提案の手直しに使う時間のほうが長くなることもあります。

職位ごとに期待される役割は、オファー面談で説明を受けられます。年収の額だけで決めずに役割とあわせて見ておけば、入社後の思い違いは減らせます。あえて一つ下の職位で入社し、年収を少し抑える代わりに立ち上がりに余裕を持たせるという選び方もあります。

5. 繁忙期の負荷

コンサルの仕事量には波があります。提案の前、経営会議の前、システムの切り替えの前など、締め切りが重なる時期には仕事が一気に増えます。求人票や口コミで見かける平均残業時間は、この波をならした数字なので、繁忙期の忙しさまでは分かりません。

育児や介護、通院など時間に制約がある人は、制度があることと、忙しい時期にも使えるかどうかを分けて考えておきたいところです。フレックスタイムやリモートワークは多くのファームで取り入れられていますが、繁忙期に夜の会議がどれくらい入るか、急な出張や休日の対応があるかは、案件とチームで変わります。制度の説明からは見えない部分なので、現場の社員に直近の繁忙期の様子を聞いておくのが確実です。

6. 評価の仕組みの分かりにくさ

コンサルの評価は、案件ごとに上司が書くフィードバックを集め、期末の評価会議で同じ職位の社員と比べて決めるのが一般的です。プロジェクトが変わるたびに上司も変わるため、日々の仕事を見ている人と、最終的に評価を決める人は別になります。どの案件の誰のフィードバックをどれだけ重く見るかは、会社ごとに違います。そこを知らないまま目の前の上司の期待にだけ応えていると、評価の場面で、思っていたのと違う基準で見られかねません。

給与への不満も、評価の仕組みとつながっています。給与が昇格のときにまとめて上がるのか、毎年の評価で少しずつ上がるのかによって、入社時の年収が同じでも数年後には差がつきます。こうした条件の話は、内定後のオファー面談で切り出すのが自然です。

7. 専門性が身につかない不安

案件ごとに新しい業界やテーマに触れられるのは、コンサルの魅力の一つです。ただ、毎回ゼロから情報を集めて資料を作る仕事が続くと、経験の幅は広がっても、自分が何を得意とする人なのかを説明しにくくなります。忙しさや資料を作る速さを成長の目安にしていると、この状態にはなかなか気づけません。

コンサルでは職位が上がるにつれて、特定の業界や、財務・人事などのテーマを軸にする人が増えていきます。どの分野を強みにしたいかが早めに決まっていれば、アサインの希望を伝えるときにも理由を添えて話せます。

コンサルはやめとけと言われる理由

コンサル転職について調べると、「コンサルはやめとけ」という意見を目にすることがあります。背景には、コンサルという仕事そのものの厳しさと、ここ数年の業界の変化があります。主な理由は次の4つです。

1. 働き方の厳しさ

コンサルは、決められた期間と予算の中で顧客の課題に答えを出す仕事なので、中間報告や最終報告の前には作業が集中します。労働時間の管理は以前より厳しくなりましたが、締め切り前に負荷が偏る性質は変わらず、激務という評判は主にこの時期の忙しさを指しています。

2. 成果への要求の高さ

コンサルの年収が高い背景には、クライアントから受け取る報酬単価の高さがあります。ファームごとの年収の差も、担う仕事の違いと、この単価の違いで説明できます。単価の高いファームほど、それに見合うかなり高い品質の成果が求められ、資料が細部まで何度も直されるのもそのためです。

職位ごとの期待水準もはっきりしていて、一定の期間で次の職位に上がることが前提になっています。昇格が見送られ続けると社内に居づらくなる、いわゆるアップ・オア・アウトの考え方は、運用の厳しさに差はあっても、業界の文化として知られています。常に評価される環境は、人によっては大きな負担です。

3. 案件の中身の変化

ここ数年、企業のDXへの需要が高まったことで、総合ファームを中心にシステム導入や業務改革の案件が大きく増え、それに合わせて採用も広がりました。コンサルという言葉から戦略づくりの仕事を思い浮かべて入社した人ほど、この変化とのギャップは大きくなります。

4. 転職市場での評価の変化

コンサル経験は今も転職市場で評価されますが、経験者が増えたことで、コンサルにいたという経歴だけでは差がつきにくくなりました。次の転職で問われるのは、どの業界やテーマで何をしてきたかです。コンサルに行けば市場価値が上がる、という期待だけで転職すると、この点で後悔しやすくなります。

コンサル転職で後悔しやすい人の特徴

後悔しやすいかどうかは、能力の高さより、転職を決めた理由や、コンサルの仕事に持っていたイメージに左右されます。当てはまるものがあっても、入社前に知っておけば、ずれはかなり小さくできます。

1. 年収や知名度を優先した転職

年収が上がることや、名の知れたファームで働けることは、転職の理由として自然なものです。ただ、それだけで決めると、仕事の中身が合わなかったときに、何のために続けているのかを見失いかねません。忙しい時期や希望と違う案件が続くときに支えになるのは、コンサルでどんな経験を積みたいかという、自分なりの目的です。

2. 華やかな仕事のイメージ

コンサルと聞いて、経営者の前で戦略を提案する場面を思い浮かべる人もいるでしょう。実際には、若手から中堅のうちは、情報収集、データの集計と分析、顧客へのインタビュー、資料の作成と修正、会議の準備に多くの時間を使います。戦略ファームでもこの点は同じで、経営層への提案は、こうした作業を積み重ねてようやく形になります。これを知らずに入社すると、最初の数カ月で、思い描いていた仕事との落差に戸惑うことになります。

3. ファームの種類による違いの見落とし

同じコンサルでも、ファームの種類によって案件の中身も働き方も違います。戦略ファームは、経営課題の検討を少人数のチームで短期間に進める案件が中心です。総合ファームは戦略から業務改革、システム導入まで幅広く扱い、大人数で長く続く案件も多くあります。IT系のファームはシステムの構想から導入、運用までを主に手がけ、ブティック系は特定の業界や、人事・財務などのテーマに絞って支援しています。この違いを知らないまま応募先を選ぶと、入社してから、やりたい仕事がその会社の中心ではなかったと気づくことがあります。

4. 周囲との比較による焦り

コンサルには、新卒から分析や資料づくりの訓練を積んできた社員が大勢います。中途入社の直後は、同じ職位のメンバーや年下の社員との差が目につき、前職で評価されてきた人ほど、それを力不足と受け止めて落ち込みがちです。けれども、この差の多くは場数の違いで、経験を重ねるうちに縮まっていきます。前職で身につけた業界の知識や現場の感覚は、新卒からコンサルにいる社員にはない強みで、案件の中で頼りにされることも少なくありません。

向き・不向きを資質の面から考えたいときは、次の記事も参考になります。

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コンサル転職の面接・社員面談で聞いておくべき7つのポイント

入社後のずれを小さくするには、気になる点を選考のあいだに直接聞いておくのが近道です。聞ける場としては、面接の最後の逆質問、内定後のオファー面談、現場社員との面談があります。給与や職位などの条件は採用担当者に、案件の進め方や忙しさは現場の社員に聞くと、具体的な答えが返ってきます。

1. 担当する業務

質問例:「中途入社の人は、最初の案件でどの工程を担当することが多いですか」「この部門で最近多い案件のテーマを教えてください」

目的:構想づくり、要件定義、進捗管理のどれが中心になりそうかをつかむための質問です。最初の案件で任される工程が分かれば、やりたい仕事とどのくらい離れているかを入社前に判断できます。

2. アサインの決まり方

質問例:「案件へのアサインは誰が決めていますか」「希望と違う案件が続いたとき、本人から相談できる仕組みはありますか」

目的:希望がどこまで通り、通らなかったときにどう動けるのかを知るためです。社内の異動制度がある会社なら、実際に使った人がいるかもあわせて聞くと、制度が機能しているかどうかが分かります。

3. 入社直後のサポート

質問例:「研修を終えてから最初の案件に入るまで、どんな流れでしたか」「入社直後は、資料の初稿を誰がどのくらいの頻度で見てくれますか」

目的:入社後の数カ月をどう過ごすのかを、前もって具体的に思い描けます。研修やコーチの制度のほか、案件の中で誰に相談できるかまで分かれば、立ち上がりの時期の不安はずいぶん軽くなります。

4. 職位に期待される役割

質問例:「この職位で入った中途社員は、最初の案件でどこまで任されましたか」「この職位で期待される水準と、一つ上の職位との違いを教えてください」

目的:年収だけでは分からない、仕事の範囲と重さをつかむためです。顧客との折衝やメンバーの管理が含まれるかどうかは、複数のオファーを比べるときの材料にもなります。

5. 繁忙期の働き方

質問例:「最近の繁忙期は、普段と比べて何が増えましたか」「夜の会議や休日の対応はどのくらいありましたか」

目的:平均残業時間には表れない、忙しさの波を知るのがねらいです。時間に制約がある人は、チームで負担を調整した例があるかも尋ねておくと、入社後の生活がより具体的に見えてきます。

6. 評価と昇給の仕組み

質問例:「評価は誰が、何を材料に決めていますか」「給与は毎年の評価で上がりますか、昇格のときにまとめて上がりますか」

目的:何を頑張れば評価されるのかを、入社前に知っておくためです。昇格が見送られた人が次の期に何を求められるかまで聞ければ、口コミで見かける厳しい話が応募先にも当てはまるのかを判断できます。

7. 専門性とその後のキャリア

質問例:「3年目前後の人は、どの業界やテーマを軸にしていますか」「この会社を出た人は、どんな仕事に就いていることが多いですか」

目的:その会社でどんな強みを身につけられるのか、数年後にどんな道がありそうかを知るための質問です。人の出入りが多い業界なので、社員面談でこうした話を聞いても失礼にはあたりません。

コンサル転職後に合わないと感じたときの対処法

新しい職場に入ってしばらくは、誰でも多少の違和感を抱えるものです。それが続くときは、自分を責める前に、何が合わないのかを整理してみてください。案件の中身、上司との相性、職位に求められる役割など、本人の能力とは別のところに原因があることはよくあります。原因が分かれば、取るべき手も見えてきます。

心身の不調やハラスメントの相談

睡眠不足が続く、強い不安がある、体調を崩している、ハラスメントを受けているといった状況なら、ほかの悩みとは切り離して、早めに相談してください。社内の相談窓口、産業保健スタッフ、医療機関など、頼れる先は社内外にあります。

仕事の進め方のすり合わせ

仕事の進め方で悩んでいるなら、期限、成果物の形、求められる精度、優先順位を上司と確かめるだけで楽になることがあります。レビューで同じ指摘が続くときも、指摘の意図を聞いておけば、次に気をつける点がはっきりします。

社内異動や転職の検討

それでも合わないと感じるなら、社内異動も転職も普通の選択肢です。コンサル業界はもともと人の出入りが多く、在籍が数年、あるいはそれより短いうちに、事業会社やほかのファームへ移る人も珍しくありません。

コンサルで課題を整理し、資料にまとめ、経営層と議論した経験は、事業会社の経営企画や事業開発、ほかのファームへの転職でも評価されます。合わない環境で無理を続けるより、次の場所を探したほうが、その後のキャリアのためになります。

コンサル経験を活かせる具体的な転職先と、自分に合うキャリアの選び方は次の記事で解説しています。

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コンサル転職の後悔に関するよくある質問

コンサルへ転職すると、必ず激務になりますか?

忙しさは同じ会社でも大きく違います。会社名より、部門、職位、案件、時期で決まる部分が大きいからです。気になるなら、平均残業時間より、応募する部門の直近の繁忙期の様子を聞いたほうが、生活への影響を具体的に想像できます。

IT案件に入ったら、転職は失敗ですか?

失敗かどうかは、案件の種類より中身で決まります。構想から実装まで見届けたい人にとっては、得がたい経験です。判断の目安は、自分が積みたい経験と担当する工程が合っているか、そして次の案件につながるかです。

何年働けば、転職した意味がありますか?

決まった年数はありません。次の転職で見られるのは、担当した課題、自分の役割、出した成果を具体的に説明できるかどうかです。在籍が短くても、この3点を話せれば、コンサルでの経験は次の転職でも十分に生きます。

入社前に社風まで見抜けますか?

完全に見抜くのは難しいものの、職位や部門の違う社員に話を聞く機会が多いほど、判断の材料は増えます。面接官や社員の話し方、質問への答え方からも、社内の雰囲気はある程度伝わってくるものです。

まとめ

コンサル転職で後悔する理由は人それぞれですが、その多くは、入社前に仕事の実態を知っておくことで防げます。担当する仕事や働き方は会社や部門によって大きく違うため、気になる点は面接や社員面談で具体的に聞いておくのが確実です。オファーを比べるときも、年収の高さとあわせて、その会社で積みたい経験が得られるかどうかを見ておくと、入社後の後悔を減らせます。

入社後に合わないと感じても、社内異動や転職で道を選び直せますし、コンサルで積んだ経験は次の職場でもきちんと生きてきます。

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