Strategy&は、PwCのグローバルネットワークに属する戦略コンサルティングチームです。名前だけを見るとPwCコンサルティングの一部門に思えますが、前身のBooz & Companyから続く戦略ファームとしての歴史と、PwCの幅広い専門家を使える環境の両方を持っています。

MBBや独立系の戦略ファームと比べると、Strategy&は戦略を作った後の実行までPwCと一緒に支援できる点が特徴です。ただし、Strategy&のコンサルタントが大規模なシステム導入を直接担当するわけではありません。経営の方向を決め、実行を担うチームへつなぎ、変革全体の筋を通す役割を担います。

この記事では、Strategy&の成り立ち、組織、仕事内容、年収、社風を整理し、中途採用の選考と面接対策まで解説します。

Strategy&とは?Boozの歴史を受け継ぐPwCの戦略チーム

Strategy&の前身は、1914年に米国で設立されたBooz Allen Hamiltonの戦略コンサルティング部門です。その後Booz & Companyとして独立し、2014年にPwCのネットワークへ加わりました。現在のStrategy&という名称は、戦略を作る「Strategy」と、実行につなげる「&」を組み合わせたものです。

日本では、PwCコンサルティング合同会社のストラテジーコンサルティング部門として活動しています。採用もPwCコンサルティングの経験者採用の中で行われます。

項目 内容
ブランド Strategy&
日本での所属 PwCコンサルティング合同会社
前身 Booz & Company
主な仕事 全社戦略、成長戦略、事業ポートフォリオ、組織変革、実行支援
特徴 戦略専門チームとPwCの業務・テクノロジー・税務・法務・M&A機能の連携

出典:Strategy& キャリア

Strategy&とPwCコンサルティングの違い

PwCコンサルティングには、Strategy&のほかにも業界別のコンサルティングチーム、業務改革、テクノロジー、組織人事などの専門チームがあります。

Strategy&が主に扱うのは、経営陣が決めるべき方向そのものです。どの市場へ投資するか、どの事業を伸ばすか、会社の強みをどう作り直すかを考えます。ほかの部門は、その戦略を業務、組織、データ、システムへ落とし、実行する役割を担います。

実際の案件では明確に線を引けないこともあります。Strategy&が業務モデルの設計まで入り、PwCの別チームと同じプロジェクトで働くこともあります。転職する側にとっては、戦略案件に集中しながら、実行に必要な専門家と組みやすいことが利点です。

「Strategy through Execution」の考え方

Strategy&は、戦略を実行へつなげることを重視しています。市場規模を計算して提言を出すだけではなく、その会社にしか持てない強みを見つけ、投資する事業とやめる事業を決め、組織と能力をそろえます。

たとえば、メーカーの新規事業を支援する場合、成長市場を選ぶだけでは足りません。既存の技術や顧客基盤をどこまで使えるか、足りない能力を買収で補うか、自社で育てるか、どの部門が責任を持つかまで考えます。実行段階ではPwCのディール、テクノロジー、税務などの専門家と連携できます。

Strategy&の組織と主な仕事内容

Strategy&では、業界の知識と経営テーマの専門性を組み合わせて案件チームを作ります。中途採用では、これまでの業界経験をそのまま使う人もいれば、特定の業界に固定されず、戦略のテーマを軸に経験を広げる人もいます。

全社戦略と事業ポートフォリオ

企業全体をどの方向へ動かすかを決める仕事です。複数の事業を持つ会社なら、どこへ資金と人を振り向け、どの事業を縮小・売却するかを考えます。経営計画を作るだけでなく、成長率、収益性、競争力、相乗効果を見ながら、投資の優先順位を決めます。

経営企画、事業管理、投資審査に関わってきた人は、社内で一つの会社を見てきた経験を、複数のクライアントへ広げられます。面接では、分析資料を作ったことより、その分析によって経営判断がどう変わったかを話すと経験の価値が伝わります。

成長戦略と新規事業

既存事業の成長、新しい市場への参入、新商品・サービスの立ち上げなどを扱います。顧客へのインタビュー、競合分析、市場規模の推計を行い、どの顧客に何を提供し、どう利益を出すかを設計します。

Strategy&らしいのは、会社がもともと持つ能力から戦略を考える点です。魅力的な市場を見つけても、その会社に勝つ力がなければ長続きしません。技術、ブランド、販売網、オペレーションなど、他社が簡単にまねできない能力を組み合わせ、勝てる場所を選びます。

組織・オペレーティングモデル

戦略を実行するための組織、権限、業務の分担を設計する仕事です。全社戦略を変えても、事業部ごとの評価指標や予算配分が以前のままなら、現場は動きません。誰が意思決定し、どの数字で進捗を測るのかまで決めます。

組織再編や海外拠点の統合では、正しい組織図を作るだけでなく、利害の異なる責任者と合意しなければ前へ進みません。人事制度、PMI、全社改革の経験がある人は、この領域で強みを出せます。

トランスフォーメーション

経営環境の変化に合わせて、事業と会社の仕組みをまとめて変える案件です。コスト改革、デジタル化、サステナビリティ、事業モデルの転換など、複数のテーマを同時に扱います。

Strategy&は変革の方向と優先順位を作り、PwCの各部門が実行を支えます。戦略チームだけで完結しないため、専門の異なる相手へ考えを説明し、最後まで一つの方針を保つ力が求められます。

Strategy&の強み

100年以上続く戦略コンサルティングの知見

Strategy&には、Boozの時代から蓄積してきた戦略コンサルティングの知見があります。古い歴史そのものが転職先の価値になるわけではありませんが、経営戦略、組織設計、製品ポートフォリオなど、現在も使われる考え方の発展に関わってきたファームです。

PwCに加わった後も、Strategy&は独自の採用と育成を行う戦略チームとして位置づけられています。戦略ファームらしい少人数の案件と、PwCの大きなネットワークを両方経験できる点が他社との違いです。

PwCの専門家を使って実行までつなげられる

戦略を実行するときには、M&A、税務、法務、会計、業務、ITなどの論点が出ます。Strategy&はPwCの各組織とチームを組み、構想から実行まで支援できます。

独立系の戦略ファームでも実行支援は行いますが、Strategy&は同じネットワーク内に実装を担う大規模な組織があります。経営陣への提言だけでなく、変革が現場へ下りるところまで見たい人にとって魅力があります。

会社固有の強みから戦略を考える

Strategy&は、業界の成功例をそのまま当てはめるのではなく、その会社にしかない能力を組み合わせることを重視します。優れた技術があっても販売力がなければ伸びません。顧客基盤があっても商品開発が遅ければ競争に負けます。

何を足すかだけでなく、どの能力を中心に会社を作り直すかを考えるため、企業の内部まで深く理解する仕事になります。事業会社で現場と経営の両方を見てきた人は、この考え方と相性が良いでしょう。

Strategy&とほかの戦略ファームの違い

比較先 Strategy&との主な違い
MBB MBBは独立した戦略ファーム。Strategy&はPwCの実行部隊と組める
Monitor Deloitte どちらもBig4内の戦略ブランド。Strategy&は旧Booz、Monitorは旧Monitor Groupの系譜
EYパルテノン EYパルテノンはM&A・トランザクションとの接点が強い。Strategy&は全社戦略と組織能力の設計に厚みがある
アクセンチュア ストラテジー アクセンチュアはテクノロジーと実装の規模が大きい。Strategy&はPwCの税務・法務・ディールも使える

実際の案件領域は重なります。転職先を選ぶときはブランドの違いだけでなく、日本オフィスで最近どの業界とテーマの採用を増やしているか、自分の経歴でどの職位になるかまで比べる必要があります。

戦略ファーム全体の位置づけは、次の記事で比較しています。

戦略コンサル会社ランキング・Tierの見方|年収・特徴・転職難易度を比較
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Strategy&の年収

Strategy&を含むPwCコンサルティングの平均年収は1,071万円です。

出典:OpenMoney

Strategy&の年収は、PwCコンサルティングの中でも高い水準です。おおよその目安は次のとおりです。

職位 年収の目安 主な役割
アソシエイト 600万〜900万円 調査、分析、資料作成
シニアアソシエイト 900万〜1,300万円 担当領域の設計、クライアントとの議論
マネージャー 1,300万〜1,900万円 プロジェクトの設計と管理
ディレクター 1,900万〜3,000万円 複数案件の統括、顧客開拓
パートナー 3,000万円〜 顧客関係、売上、組織運営への責任

同じ年齢でも、前職の経験と採用職位によって年収は変わります。事業会社から未経験で入る場合、現在の役職をそのままコンサルタントの職位へ置き換えるわけではありません。少人数のチームで自分の論点を持ち、分析から提案まで進められるかが基準になります。

戦略ファームの報酬が高いのは、少人数のチームが経営上の大きな判断を扱い、クライアントから高い料金を受け取るからです。その分、短期間で質の高い答えを出すことが求められます。

Strategy&の働き方と社風

少人数で議論の多いチーム

戦略案件は、パートナー、マネージャー、数人のコンサルタントで進むことが一般的です。若手も担当した分析を説明し、結論について意見を求められます。上司の指示どおりに資料を作るだけではなく、自分の仮説を持って議論へ参加する働き方です。

案件の節目には仕事が集中します。経営会議や提案の日程は動かせないため、直前は分析と資料の修正が増えます。一方で、働き方は案件の進め方とマネージャーの管理によっても変わります。面接やオファー面談では、チームの人数、平均的な案件期間、海外案件の頻度を聞くと実態をつかみやすくなります。

「袖をまくる」姿勢

Strategy&は、構想だけを示して離れるのではなく、クライアントと一緒に実行する姿勢を大切にしています。現場でデータがそろわない、部門間で意見が割れる、計画どおりに施策が進まないといった問題にも向き合います。

この仕事では、頭の良さだけでは足りません。相手の立場を理解しながら、必要なことは率直に伝え、決めたことを前へ進める力が要ります。事業会社で部門をまたぐ改革を進めた人は、その経験を面接で伝えやすいでしょう。

PwC内のキャリア

Strategy&で戦略案件を経験した後、PwC内の別部門と仕事をしたり、海外オフィスと協働したりする機会があります。パートナーを目指すほか、事業会社の経営企画、新規事業、投資部門、PEファンドなどへ移る道もあります。

ただし、入社後すぐに幅広い異動が約束されるわけではありません。まずはStrategy&の案件で評価を得ることが前提です。希望する業界やテーマがある場合は、入社前に日本オフィスの案件構成を確認しておくべきです。

Strategy&に向いている人

戦略と実行の両方を見たい人

経営戦略を考えるだけでなく、PwCの専門家と一緒に実行まで関わりたい人に向いています。反対に、分析と提言だけに仕事を絞りたい人は、独立系の戦略ファームとも比較したほうがよいでしょう。

事業会社で変革を進めた人

経営企画や事業開発だけでなく、営業改革、商品開発、組織再編、海外事業などの経験も生かせます。大切なのは担当したテーマの大きさではなく、自分で課題を見つけ、関係者を動かし、結果を出したかどうかです。

異なる専門家と働ける人

PwCでは戦略、会計、税務、法務、ITなどの専門家が一つの案件に入ります。自分の考えを押し通すより、専門の違う相手から必要な知見を引き出し、一つの提案にまとめられる人が力を発揮します。

経歴別に見るStrategy&への転職

事業会社の経営企画・事業開発

経営計画、新規事業、海外展開、事業再編などの経験は、Strategy&の案件へつながります。選考では、資料を作ったことより、どの選択肢を示し、経営陣が何を決めたかを説明します。

一社の内部事情に詳しいことも強みです。戦略が正しくても、予算、人事評価、部門間の利害が合わなければ実行されないことを、実体験として知っているからです。その経験を、別の会社でも使える問題解決の手順に置き換えて話します。

メーカー・金融・消費財などの現場経験者

Strategy&は、企画職だけを採るわけではありません。商品企画、営業、生産、研究開発、金融商品の設計など、事業の現場を知る人も採用対象です。

現場経験者は、業界知識を細かく説明するより、顧客や会社の課題をどう見つけたかを示します。自分の担当範囲を越えて改善を提案し、他部門を動かした経験があれば、コンサルタントとして働く姿を伝えやすくなります。

他のコンサルティングファーム

総合ファームからの転職では、戦略案件で自分が担った範囲が見られます。戦略チームの指示を受けて市場調査をしたのか、自分で論点を設計し、経営陣と議論したのかでは評価が違います。

独立系の戦略ファームから移る場合は、PwCの実行組織と働きたい理由が論点になります。担当した戦略が実行段階で止まった経験や、税務・法務・ITを含む変革へ仕事を広げたい理由を具体的にします。

金融・商社・投資銀行

投資判断、M&A、事業投資の経験は、事業ポートフォリオや成長戦略で生かせます。財務モデルを作れるだけでなく、事業の競争力をどう見たか、投資後に何を変えたかを説明します。

投資銀行からの転職では、取引の成立ではなく、企業が何を買い、買収後にどう価値を作るかへ関わりたいという志望理由が自然です。商社の経験者は、投資先の経営と海外事業を動かした経験が評価されます。

Strategy&のキャリアと入社後の成長

アソシエイトは、調査、インタビュー、分析、資料作成を担当します。シニアアソシエイトになると、一つの論点を自分で設計し、若手の成果物も見ます。マネージャーは案件全体の仮説、作業計画、顧客との議論を管理します。

ディレクターやパートナーになると、自分で顧客の課題を見つけ、提案し、チームを作る役割が中心です。良い答えを出すだけでなく、どの会社の誰から相談される専門家になるかが問われます。

育成は案件内のフィードバックが中心です。分析の置き方、インタビューの聞き方、スライドの表現について、上位者から細かくレビューを受けます。入社直後は修正の量が多くても、判断基準を理解すれば別の案件でも使えるようになります。

海外オフィスと組む案件では、現地の市場や専門分野を持つメンバーと働きます。PwCのネットワークを通じて、税務、法務、M&A、テクノロジーの知識にも触れられます。ただし、上位職へ進むには、幅広い知識だけでなく、自分の軸となる業界やテーマを持たなければなりません。

Strategy&からの転職先

主な転職先は、事業会社の経営企画・事業開発、スタートアップの経営幹部、PEファンド、投資先の経営支援、ほかのコンサルティングファームです。

成長戦略や新規事業を多く経験した人は、事業会社で事業責任者の近くへ移りやすくなります。M&Aや事業ポートフォリオを経験した人は、投資部門やPEとの接点が増えます。組織変革と実行支援を担った人は、全社改革やPMIの責任者として評価されます。

転職先の選択肢はStrategy&のブランドだけでは決まりません。どの業界を担当し、経営陣との議論から実行までどこを持ったかによって変わります。

応募前に確認したいポイント

まず、日本オフィスで希望業界の案件がどれだけあるかを確認します。グローバルの事例が豊富でも、日本で同じ案件へすぐ入れるとは限りません。

次に、PwCの別部門と組む案件の比率を聞きます。戦略チームだけで完結する仕事と、大規模変革の一部を担う仕事では、担当範囲と働き方が変わります。

最後に、採用職位を確認します。シニアアソシエイトとマネージャーでは、期待される役割が大きく違います。年収だけで上位職を選ぶより、最初の案件で無理なく成果を出せる職位を選ぶほうが、その後の昇進につながります。

Strategy&の中途採用

中途採用は通年で行われています。選考は、書類選考、適性検査、複数回の面接が基本で、面接ではケース問題とこれまでの経験の両方を見られます。

採用職位は経験によって決まります。コンサル未経験者はアソシエイトやシニアアソシエイト、他ファームで案件を管理した経験があればマネージャー以上が候補になります。年齢だけでなく、プロジェクトで担った役割を基準に判断されます。

出典:PwC Strategy& 経験者採用

職務経歴書

書類では、経験した仕事の説明よりも、自分がどんな判断をし、何を変えたのかが見られます。市場調査をしたなら、その結果を経営陣がどう使ったのか。新規事業を担当したなら、どの仮説を検証し、どこで計画を変えたのかまで書きます。

Strategy&は少人数で案件を進めるため、チームの成果と自分の役割を分けて説明します。「プロジェクトを成功させた」だけでなく、自分が受け持った論点と、他の人にはない付加価値を示します。

ケース面接

ケース面接では、市場規模、成長戦略、新規事業、利益改善などの問題が出ます。答えの正しさだけでなく、論点を分け、必要な情報を聞き、面接官との対話で考えを深められるかが評価されます。

Strategy&の一次面接を受けた流れと、実際のケース問題は次の記事で紹介しています。

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志望動機

志望動機では、「戦略に関わりたい」「グローバルに働きたい」だけでは他社にも当てはまります。前職で感じた課題を起点に、Strategy&のどの案件で何をしたいのかを話します。

たとえば、事業会社で戦略を作っても実行部門との接続に苦労した経験があれば、PwCと連携して戦略から実行まで関われる環境を志望する理由になります。Boozから続く戦略の知見と、PwCの実行力の両方に触れると、Strategy&を選ぶ理由が明確になります。

Webテストと応募準備

適性検査は、書類通過後に準備を始めると間に合わないことがあります。形式ごとの問題に慣れ、時間内に解く練習を先に進めます。

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まとめ

Strategy&は、Boozから続く戦略コンサルティングの知見と、PwCの幅広い実行力を併せ持つチームです。全社戦略、成長、新規事業、組織変革を扱い、戦略を作った後もPwCの専門家と一緒に実行へつなげます。

中途採用では、論理的に考える力に加えて、前職でどんな変化を起こしたか、異なる立場の人とどう合意したかが見られます。Strategy&で取り組みたいテーマを決め、自分の経験との接点を具体的に説明できる状態で選考に臨みます。