コンサルティングファームの選考では、多くの場合、ケース面接が合否を大きく左右します。店舗の売上を伸ばす、新しい市場に参入するかを決める、といったビジネスの課題をその場で考え、前提の置き方から結論までを筋道立てて説明する面接で、問われるのは主に論理的思考力です。面接官と議論しながら進めるのが基本の形ですが、グループワークで課題を扱うファームや、録画やAIを使うファームもあり、形式は会社によってかなり違います。

アビームコンサルティングは、日本で生まれ、アジアを中心に海外にも拠点を広げてきた総合コンサルティングファームです。1981年に等松・トウシュロス コンサルティングとして設立され、デロイトのグループに属した時期を経て、2003年に独立して今の社名になりました。戦略の立案から業務改革、SAPをはじめとする業務システムの導入、アウトソーシングまで手がけ、計画づくりから実行までを一貫して引き受けるのが強みです。

アビームの新卒選考では、ケース面接の相手をAIが務めます。2028年卒の採用では、エントリーシートと適性検査(SPI)の後に対話型AIを使ったオンライン面接があり、その中で経験に関する質問とケース面接を受けます。キャリア(中途)採用は別の選考で、AI面接はありません。

新卒か中途か、新卒ならどのコースで受けるかによって、ケース面接を受ける場面も準備の進め方も変わります。中途で応募する人は、後半のキャリア採用の章から読み始めてもかまいません。

アビームのケース面接の形式|2028年卒のAI面接

AI面接は、面接官の代わりにAIが質問し、応募者がオンラインで答える形式の面接です。時間や場所を選ばずに受けられるため、新卒採用では、応募者の多い序盤の選考によく使われます。回答を録画して後から人が見る形式もあれば、AIが回答の内容に合わせて次の質問を返す対話型もあります。

アビームのAI面接は対話型で、Strategy Consultant職とSolution Consultant職のどちらも同じ仕組みで行われます。中身は、これまでの経験に関する質問とケース面接の二つ。ケース面接では論理的思考力を確かめ、経験質問への回答は、後の選考で参考情報として使われます。

合否を決めるのは人です。AI面接の結果だけで合否が決まることはなく、AIが自律的に合否を判断することもありません。結果は、エントリーシートや適性検査とあわせて、面接官と選考担当者が総合的に判断する材料になります。声のトーン、表情、抑揚といった印象は評価されません。

そのため、カメラ映りやAI向けの話し方の練習にはほとんど時間を割かなくて構いません。むしろ経験質問のほうが手薄になりがちです。答えが後の選考まで残るので、ケースと並行して準備を進めておきましょう。なお、印象を見ないといっても話の中身はしっかり見られます。前提が抜けた説明や、最後まで結論が出てこない回答は、中身の問題として評価に響きます。

アビームの選考フロー|コース別の違い

コンサルティングファームの新卒選考は、エントリーシートと適性検査で絞り込んだ後、ケース面接やグループワーク、複数回の面接へ進むのが一般的です。ケースをどの段階に置くか、グループワークを挟むかどうかは、ファームやコースによって違います。

コース別の選考の流れ

アビームの2028年卒のコンサルタント採用には、Strategy Consultant職に二つ、Solution Consultant職に二つ、合わせて四つのコースがあります。マイページ登録、エントリーシート、適性検査、AI面接までは全コース共通で、秋ターム以降の本選考では、AI面接より後の流れが次のように分かれます。

コース 職種 AI面接の後の流れ
戦略コンサルタント Strategy Consultant職 グループワーク → 面接(オンライン・対面各1回) → 内々定
公共経営コンサルタント Strategy Consultant職 キャリア志向シート → オンライン面接2回 → 内々定
ビジネスコンサルタント Solution Consultant職 キャリア志向シート → オンライン面接2回 → 内々定
デジタルコンサルタント Solution Consultant職 キャリア志向シート → オンライン面接2回 → 内々定

流れが違うのは戦略コンサルタントコースだけで、AI面接の後にグループワークが入り、面接の1回は対面になります。公共経営コンサルタントコースは、同じStrategy Consultant職でもSolution Consultant職の2コースと同じ流れです。

受付を終えた夏タームも、分かれ方は同じでした。戦略コンサルタントコースはAI面接の後にStrategy Job(東京で行う3日間の対面プログラム)と最終面接、ほかの3コースはSummer Internship、キャリア志向シート、オンライン面接2回という流れでした。体験記を読むときは、どのコースのどのタームの話かを先に確かめておくと、ケースが出た場面を取り違えません。

グループワークと面接で見られること

AI面接の後の選考でも、考える力は引き続き見られます。グループワークは、チームで課題を分解して結論をまとめる場なので、ケース面接と同じ力が試されます。コンサルの個人面接でも、志望動機や経験の深掘りのほかに、その場で考えさせる短い質問が出るのはよくあることです。

それでも、ケース面接として選考に組み込まれているのはAI面接です。グループワークのない公共経営、ビジネス、デジタルの3コースを秋に受ける人ほど、AI面接のケースに準備を集中させる意味があります。

アビームのコース選択と併願のルール

総合コンサルの新卒採用は、職種やコースを選んで応募し、入社後に携わる領域がある程度決まった状態で選考を受ける形が主流です。どのコースで受けるかによって選考の流れも志望動機の話し方も変わるので、ケースの練習より先に決めておきたいところです。

アビームの2028年卒の新卒採用では、戦略コンサルタントコースとほかのコースを併願できません。エントリーシートも、戦略コンサルタントコース向けとそれ以外のコース向けで分かれています。

ビジネス、デジタル、公共経営の3コースとPlanning & Operation職は、エントリーシートで興味のあるコースを選び、キャリア志向シートで改めて第2希望まで選ぶ仕組みです。秋タームでは、キャリア志向シートの提出案内がAI面接の案内と一緒に届きます。第2希望まで書いた人には、面接までに進むコースが一つ示されます。原則は第1希望ですが、シートの内容から志向に合う別のコースを案内されることもあり、確定したコースは原則として変更できません。

提出したエントリーシートとキャリア志向シートは、後から修正できません。AI面接で話す経験と二つの書類に書く内容が食い違わないように、先にそろえておくのが無難です。

アビームの秋ターム本選考の締切とスケジュール

コンサルの新卒採用は、夏のインターンシップを経由する選考と秋以降の本選考の二本立てになっているファームが多く、本選考の締切も複数回に分かれているのが普通です。締切が複数あっても、後の回ほど残りの枠は少なくなります。

アビームの2028年卒も夏タームの受付はすでに終わり、これから応募できるのは秋ターム以降の本選考です。秋タームのエントリーシート締切は、両職種とも2026年9月30日、10月15日、10月29日の3回で、時刻はいずれも14時です。採用が充足したコースから順に募集を締め切るので、最終締切まで待つのはおすすめしません。

エントリーシートを出した後は、選考が短い間隔で進みます。適性検査の案内もAI面接の案内も、次へ進む人にだけ、前の段階から2営業日以内にマイページで届きます。AI面接の案内が届いてから練習を始めるのでは遅いので、ケースを声に出して解く練習は、エントリーシートを出す前から始めておきましょう。

夏タームで不合格だった人も、秋の本選考に応募できます。夏に適性検査とAI面接を受けた人は、その結果をふまえて秋の受検が免除されることがあり、免除された場合は希望しても受け直せません。夏のAI面接の出来に不安がある人も、まずマイページの案内で受検の有無を確かめ、そのうえで準備の配分を決めましょう。

アビームのAI面接でのケース対策

対話型AIのケース面接では、お題が示されたあと少し考える時間があり、回答を話し始めると、AIがその内容に合わせて追加の質問を返してきます。追加の質問は、前提の根拠、数字の置き方、施策の優先順位など、人の面接官が深掘りするところに向かいます。ただ、面接官とじっくり議論する対面のケースと比べて、考える時間も話す時間も区切られているので、手早く考えをまとめ、一度で話し切る力が求められます。

アビームのAI面接も対話型なので、準備は追加の質問が来ても来なくても困らない形にしておきます。質問が来なければ、前提から結論まで一人で話し切る。来たら、それまでの説明を捨てずに、変わった前提の部分だけを答え直す。練習ではこの両方を一度ずつ試し、考える時間と話す時間をタイマーで区切っておくと、本番の時間感覚に近づきます。

対話型AIの面接形式そのもの(録画・記述形式との違い、練習の進め方)は、次の記事にまとめました。

AIケース面接とは?本番の形式・練習方法・注意点を解説
AIケース面接とは?本番の形式・練習方法・注意点を解説AIケース面接の形式と準備を解説。録画・記述・対話型の違い、受検案内で見るべき制限時間・使える道具・受検環境・評価の観点、アビームコンサルティングや丸紅の選考での使われ方、練習サービスや生成AIでの練習方法を紹介します。...

ゴールの置き方、分解、仮説の立て方といったケース面接の基本は、こちらで整理しています。

ケース面接とは?例題・解き方・評価基準・対策方法を解説
ケース面接とは?例題・解き方・評価基準・対策方法を解説ケース面接とは何かを、評価される7つの項目、フェルミ推定とケースの解き方の型、WHO→WHAT→HOWの施策の組み立て、例題、出題タイプ別の構造化、練習方法まで解説します。...

アビームのケース面接の出題例と練習テーマ

ケース面接の題材は、身近な店舗やサービスの売上を伸ばす、利用者を増やす、新しい事業に参入するかを決めるといった、専門知識がなくても考えられるテーマが中心です。市場の規模を見積もるフェルミ推定が、ケースの入り口として出ることもあります。

就活サイトに載っているアビームの体験記でも、店舗や施設の売上、利用者数を伸ばす題材がよく挙がり、グループで議論して発表したという話も見かけます。ただ、体験記は年度やコース、選考段階がはっきりしないものが多く、ケースがAI面接の中で出る今の選考とは形も違います。過去問として覚えるより、初めて見るテーマでも前提を置いて分解できるかを試す材料として使うのが、今の形式に合った読み方です。

練習の題材は、志望コースの仕事から作るのがおすすめです。経験質問や後の面接で志望理由を話すときにも、同じ領域の話としてつながります。下の表は、各コースが扱う領域をもとに作った練習テーマの例で、アビームの過去問ではありません。

コース 主な領域 練習テーマの例
戦略コンサルタント 新規事業、中期経営計画、M&A、人的資本経営 国内の食品メーカーが東南アジアで新規事業を始めるべきか
公共経営コンサルタント 中央省庁、自治体、文教、医療・福祉 人口が減る市で、市民病院の外来の待ち時間を短くする
ビジネスコンサルタント 経営管理、会計、サプライチェーン、人事 製造業の完成品在庫を、欠品を増やさずに1年で20%減らす
デジタルコンサルタント AI、データ、クラウド、セキュリティ 保険会社の問い合わせ窓口の対応時間を生成AIで短くする

アビームのケース面接の回答のコツ|施策の実行条件

ケース面接の回答は、ゴールを決め、課題を分解し、原因の仮説を立ててから施策を選び、効果とリスクを添えて結論を出す、という流れが基本です。この筋道はどのファームでも共通です。そのうえで、施策をどこまで具体的に詰めて話すかは、受けるファームの仕事に合わせて考えておくと差がつきます。

実行条件の考え方

アビームは、実行まで担うことを前面に出すファームです。Solution Consultant職は構想策定から実現まで一貫して伴走する職種で、戦略コンサルタントコースも、戦略を描いて終わらせず、クライアントと共に実行して最後まで実現することを重視しています。ケース面接は論理的思考力を見る場ですが、施策の実行条件まで考えておくと、その施策を先にやる理由を説明する材料が増え、アビームの仕事にもかみ合った答えになります。

施策を一つ決めたら、実行する場面を思い浮かべてみます。動くのは誰か、変える業務は何か、使うデータはどこにあるか、最初にどの店舗や商品や部署で試すか。「AIを導入する」「広告を増やす」の一言で止まっている回答は、このどれにも答えられていません。

在庫削減テーマの回答例

表の在庫削減のテーマなら、対象は国内の完成品在庫、期間は1年で、欠品率を悪化させずに在庫金額を20%減らすのが目標です。一部の低回転商品が在庫の多くを占めている、という仮説から入り、外れていれば調達リードタイムや安全在庫へ広げます。

ここで需要予測システムの導入を結論にして話を締めると、先の問いには一つも答えないまま終わってしまいます。営業予測を誰が集め、生産計画へいつ反映し、例外を誰が承認するのか。そこまで詰めたうえで締めるなら、たとえば次のような形です。

低回転商品群の在庫方針を見直し、まず一つの製品群で8週間試します。在庫金額、欠品率、計画変更にかかる工数を測り、全製品へ広げるかを決めます。

数字も仮説も、練習のために置いた仮のものです。

アビームのAI面接での経験質問の対策

経験質問は、学生時代に力を入れたことなど、過去の行動を具体的に聞いて、考え方や人との関わり方を確かめる質問です。コンサルの選考では、ケースで見る思考力と並んで、チームの中で成果を出せる人かを判断する材料になります。

アビームのAI面接では、経験質問への回答が後の選考で参考情報として使われます。戦略コンサルタントコースならグループワークと面接、ほかの3コースならキャリア志向シートとオンライン面接が、その後の選考にあたります。AI面接で話すエピソードは、後の面接でもう一度深く聞かれても、同じ説明ができるものを選んでおきましょう。

準備には、読み上げ用の原稿より、課題、自分の役割、迷った判断、周りとのやり取り、結果を整理したメモが向いています。深掘りされても話が崩れにくいからです。「サークルの参加者を増やした」で止めず、意見が割れたときに何を材料として示し、誰と合意したかまで思い出しておくと、後の面接でも同じ話を広げられます。

同じ面接の中に、ケースで頭を使う場面と、自分の経験を話す場面の両方があります。練習でも、ケースを1問解いた直後に経験質問に1問答える順番にしておくと、頭の切り替えを含めて本番に近い負荷になります。

アビームのキャリア採用(中途)の選考と対策

コンサルティングファームの中途採用は、書類選考の後に複数回の面接という流れが基本で、面接ではケースや、職務経験をもとにしたディスカッションがよく行われます。ケースを出すかどうかは、ポジションや面接官しだいです。

キャリア採用の選考フロー

アビームのキャリア採用は、エントリー、書類選考、複数回の面接、オファーの順に進みます。書類選考の結果は応募書類を受け取ってから1週間程度で届き、募集ポジションによってはWebテストもあります。新卒のようなAI面接はありません。

職種名には注意が要ります。キャリア採用の募集ポジションにもStrategy Consultant職やSolution Consultant職の求人が並びますが、選考の仕組みは新卒とは別です。職種名が同じでも、新卒の選考情報を中途の準備に持ち込まないようにしてください。

中途のケース面接の準備

中途の面接でケースが出たときは、応募ポジションの仕事と自分の職歴のつながりを、どこまで具体的に話せるかが問われます。募集ポジションの単位は、People & Culture Strategy Unit、Corporate Finance & Transformation Strategy Unit、Technology Transformation Business Unitといったユニットです。練習の題材は応募するユニットの領域に寄せ、題材ごとに、自分の職歴で最も近い経験を一つずつ結びつけておきます。ケースの後に、似た課題を仕事でどう扱ったかを聞かれても答えられるようにするためです。

実務経験のない領域について聞かれたら、「前職では隣接する○○まで担当した」と、経験の範囲をはっきり言えるようにしておきます。経験を広く見せようとするより、深く聞かれても話が崩れない答え方です。

アビームのケース面接に関するよくある質問

アビームの新卒選考では、全員がAI面接でケースを解きますか?

2028年卒のStrategy Consultant職、Solution Consultant職、Planning & Operation職は、どれも選考の中にAI面接があり、経験質問とケース面接を受けます。ただし、過去に適性検査とAI面接を受けた人は、次のターム以降で受検が免除されることがあります。

夏の選考で不合格でも、秋に応募できますか?

応募できます。各タームで不合格になった人も、次のターム以降の選考の対象です。ただ、夏の選考の進み具合によっては秋に応募できない人もいて、その場合は個別に案内が届きます。

IT知識がないと不利ですか?

アビームの新卒選考では、現時点のITスキルや知識は問われず、ITに前向きな意欲があれば問題ありません。デジタルコンサルタントコース志望でも、ケースでは技術名を並べるより、どの業務課題を解くのかを先に話すほうが、論理的思考力を見るケース面接に合った答え方になります。

AI面接で表情や声の出し方を練習すべきですか?

アビームのAI面接では、声のトーン、表情、抑揚といった印象は評価されません。表情の練習に使う時間は、前提から結論まで筋道を立てて話す練習に回すのが得策です。説明の分かりやすさは、印象とは別に問われます。

中途採用でもケース面接はありますか?

キャリア採用の選考は、書類選考と複数回の面接で進み、ポジションによってWebテストがあります。ケースが出るとすれば面接の中です。コンサルの中途面接では短いケースやその場で考える質問が出ることが多いので、応募するユニットの領域で一度はケースを解き、職務経験と結びつけて話せる状態で面接に臨みましょう。

まとめ

アビームのケース面接は、新卒と中途で準備の中身が大きく変わります。

新卒では、ケース面接はAI面接の中で経験質問と一緒に行われます。合否を決めるのは人で、表情や声の印象は評価されないので、準備の中心は、前提から結論まで筋道立てて話す練習と、書類や後の面接と食い違わない経験の話を用意しておくことです。コースによって選考の流れが違い、戦略コンサルタントコースはほかのコースと併願できないため、どのコースで受けるかは早めに決めておきましょう。

中途の選考にAI面接はありません。面接でケースが出ても落ち着いて答えられるよう、応募するユニットの領域でケースを練習し、自分の職歴と結びつけて話せるようにしておくと安心です。