KPMGコンサルティングへの転職|年収・強み・社風・中途採用を解説
Big4のコンサルティング部門は、戦略から業務改革、システム導入までを広く扱います。その中でもKPMGコンサルティングは、企業の成長を支える「攻め」の改革と、リスクやガバナンスを整える「守り」の両方を一つの会社で扱っているファームです。
会社名が似ているKPMG FASとは別法人で、応募先によって仕事内容も選考も変わります。また、KPMGコンサルティングの中にも、業界別のチームと、戦略・業務・テクノロジー・リスクなどの専門チームがあります。どの組織で何をしたいのかまで決めておくと、応募先を選びやすくなります。
この記事では、KPMGコンサルティングの組織、強み、仕事内容、年収、働き方を整理したうえで、中途採用の選考と面接対策まで解説します。
KPMGコンサルティングとは?Big4の一角を占める総合ファーム
KPMGは、監査、税務、アドバイザリーの専門家が各国でサービスを提供するグローバルネットワークです。日本では、あずさ監査法人、KPMG税理士法人、KPMG FAS、KPMGコンサルティングなどがKPMGジャパンを構成しています。
KPMGコンサルティング株式会社は2014年に設立されました。東京のほか、大阪、名古屋、京都、福岡にも拠点があり、2026年7月時点の従業員数は2,447人です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | KPMGコンサルティング株式会社 |
| 設立 | 2014年7月 |
| 従業員数 | 2,447人(2026年7月1日現在) |
| 国内拠点 | 東京、大阪、名古屋、京都、福岡 |
| 主な仕事 | 戦略、業務改革、DX、テクノロジー、リスク・ガバナンス |
Big4の中では比較的コンパクトな組織です。何万人もの社員を抱える総合ファームに比べると、部門をまたいだ相談がしやすく、経営課題に応じてチームを組み替えやすい規模だといえます。一方で、応募する部門によって案件の種類はかなり異なります。
KPMG FASとの違い
KPMGへの転職を調べると、KPMGコンサルティングとKPMG FASの求人が一緒に出てきます。両社は同じKPMGジャパンに属しますが、別の会社です。
| 比較項目 | KPMGコンサルティング | KPMG FAS |
|---|---|---|
| 主なテーマ | 戦略、業務改革、DX、IT、組織人事、リスク管理 | M&A、事業再生、フォレンジック、企業価値評価 |
| 案件の時間軸 | 構想から変革の実行、定着まで | 取引の前後や経営危機など、特定の局面が中心 |
| 向いている経験 | 事業企画、業務改革、IT、内部統制、サイバーなど | 投資銀行、会計、M&A、財務、再生など |
たとえば、買収候補の価値算定や財務デューデリジェンスをしたいならKPMG FASが近く、買収後に業務やシステムを統合する仕事まで関わりたいならKPMGコンサルティングにも選択肢があります。戦略案件でも、KPMGコンサルティングの戦略部門とKPMG FASのStrategyでは担当領域が違うため、求人票の所属法人を確かめる必要があります。
KPMGコンサルティングの組織と仕事内容
KPMGコンサルティングの仕事は、大きく戦略・業務変革、テクノロジー変革、リスク・ガバナンスに分けると理解しやすくなります。実際の案件では、業界に詳しいコンサルタントと、テーマに詳しいコンサルタントが一緒にチームをつくります。
戦略策定と事業変革
経営戦略、事業ポートフォリオ、新規事業、顧客戦略、サステナビリティなどを扱う領域です。市場調査や経営計画を作るだけではなく、戦略を実行するための組織、業務、KPIまで設計します。
KPMGコンサルティングの中で純粋な戦略案件を志望する場合は、Strategy & Transformationなど、募集部門の担当範囲を見て応募します。戦略の仕事だけを希望していても、配属先によっては業務改革やシステム導入まで長く関わることがあります。面接では、案件の入口だけでなく、どこまで実行に関わるチームなのかを聞いておくと、入社後のずれを減らせます。
業務改革と組織・人事
営業、マーケティング、会計、調達、サプライチェーン、人事など、企業の基幹業務を見直す仕事です。現状の業務を整理し、将来の業務プロセスと組織を設計したうえで、運用が定着するまで支援します。
事業会社で特定の業務を経験してきた人は、この領域で経験を生かしやすいでしょう。経理で決算の早期化を進めた、メーカーで需給計画を変えた、人事で制度改定を主導したといった経験は、同じ課題を抱えるクライアントへの提案につながります。制度や手順を知っているだけでなく、現場の反発をどう乗り越えたかまで話せると、コンサルタントとしての再現性が伝わります。
AI・DXとテクノロジー変革
AI活用、データ基盤、IT戦略、クラウド、ERP、サイバーセキュリティなども大きな柱です。KPMGは、目指す業務モデルとテクノロジーを組み合わせる「KPMG Powered Enterprise」という方法を展開しています。単にシステムを入れ替えるのではなく、業務と組織を先に設計し、その実現手段としてテクノロジーを使う考え方です。
2026年には、KPMGジャパン内の専門家を横断してAI変革を支援するKPMG AiXも設けられました。生成AIを導入するだけでなく、データ基盤、業務変革、人材、セキュリティ、ガバナンスまで同時に扱います。KPMGらしいのは、AIによる成長と、誤用や情報漏えいを防ぐ管理の仕組みを同じ案件で考える点です。
リスク・ガバナンス
KPMGコンサルティングをほかの総合ファームと比べるとき、外せないのがリスク領域です。内部統制、内部監査、規制対応、経済安全保障、地政学リスク、海外子会社管理、サイバーセキュリティ、プライバシーなどを扱います。
これらは「問題が起きないように守る仕事」に見えますが、実際には経営判断と直結します。海外事業を広げるなら、各国の規制や取引先のリスクを踏まえて進出先を選ぶ必要があります。AIを全社で使うなら、利用を禁止するのではなく、安全に使えるルールと仕組みをつくらなければなりません。成長を止めずにリスクを管理するところに、この領域の難しさがあります。
KPMGコンサルティングの強み
攻めと守りを同じチームで考えられる
KPMGコンサルティングの特徴は、売上や生産性を高める改革と、リスク管理を分けずに扱えることです。新規事業の検討であれば、市場性だけでなく規制やデータ管理まで見ます。海外子会社の改革であれば、業務の標準化と同時に、不正や権限管理の問題も直します。
監査法人を起点とするネットワークには、会計や統制に詳しい専門家が多くいます。その知見を、経営戦略やデジタル変革の案件へ持ち込めるのが強みです。特に金融、公共、ヘルスケアのように規制の多い業界では、速さだけを求める提案より、実行できる条件まで詰めた提案が求められます。
戦略から実行まで支援領域が広い
KPMGコンサルティングは、経営課題の整理から業務設計、システムの導入、運用の定着まで関わります。戦略だけ、ITだけと切り分けるよりも、一つの変革を長く追いたい人に向く仕事です。
一方で、短期間の戦略案件を次々と経験したい人は、応募するチームの案件構成を確かめる必要があります。総合ファームでは同じ会社の中でも、数週間の構想案件が多い部門と、1年以上の導入案件が多い部門があるからです。
KPMGジャパンの専門家と連携できる
税務、会計、M&A、フォレンジックなどの論点が出たときに、KPMGジャパン内の別法人と連携できます。コンサルタントがすべてを自分で答えるのではなく、専門家を集めてクライアントの課題を解く形です。
中途採用では、自分の専門外の人と仕事を進めた経験も評価されます。営業、法務、IT、海外拠点など、立場の違う関係者をまとめた経験があれば、誰と何を合意し、どこで対立を解いたのかまで整理しておくとよいでしょう。
KPMGコンサルティングの年収
KPMGコンサルティングの平均年収は1,001万円です。
出典:OpenMoney
中途入社の年収は、前職の給与だけでなく、採用される職位と専門性で決まります。おおよその水準は次のとおりです。
| 職位 | 年収の目安 | 主な役割 |
|---|---|---|
| ビジネスアナリスト | 500万〜700万円 | 調査、分析、資料作成 |
| コンサルタント | 650万〜950万円 | 担当領域の分析と提案、クライアントとの実務調整 |
| シニアコンサルタント | 850万〜1,200万円 | 論点の設計、チームメンバーの指導 |
| マネジャー | 1,100万〜1,500万円 | プロジェクト管理、顧客との合意形成 |
| シニアマネジャー | 1,400万〜1,900万円 | 複数案件の統括、提案活動 |
| ディレクター以上 | 1,800万円〜 | 顧客開拓、組織運営、最終品質への責任 |
コンサルタントは在籍年数だけで昇進する仕事ではありません。上の職位ほど、良い分析をするだけでなく、仕事を取り、チームを組み、クライアントの経営層と長い関係を築く役割が大きくなります。
KPMGコンサルティングの働き方と社風
部門によって仕事の進め方が違う
戦略案件は少人数で短い期限を置くことが多く、調査と議論の密度が高くなります。ERP導入や大規模な業務改革では、数十人のチームで工程を管理しながら進めます。リスク領域では、法令や社内規程を丁寧に読み、見落としがないように検証する力が求められます。
そのため、KPMGコンサルティングの働き方を会社全体の一言で表すのは難しいでしょう。応募時には、希望部門の案件期間、チーム人数、出社や客先訪問の頻度、繁忙期を具体的に聞くのが現実的です。
専門性を持つ人が評価されやすい
総合ファームでは、幅広いテーマに対応できる力と、特定領域の知識の両方が求められます。KPMGは特に、業界知識、会計・リスク、サイバー、データ、ERPなど、専門性のある人が役割を持ちやすい組織です。
未経験で入社する場合も、「何でもやりたい」だけでは志望理由が弱くなります。前職で理解している業界や業務を出発点にして、どんな経営課題まで担当範囲を広げたいのかを話せる人のほうが、採用後の姿を想像してもらえます。
中途入社者が多い
経験者採用の比率は、2024年度79%、2025年度66%、2026年度72%です。組織の過半を中途採用が占める年が続いており、事業会社や他ファームから入ること自体は珍しくありません。
KPMGコンサルティングに向いている人
専門性を経営課題へ広げたい人
IT、経理、人事、調達、リスク管理などの経験を、社内の一部署だけでなく、複数企業の改革に使いたい人は相性が良いでしょう。現場の実務を知っていることは、実行できる提案を作るうえで強みになります。
戦略だけでなく実行まで関わりたい人
経営の方向を考えたあと、業務、組織、システムを変えるところまで見届けたい人にも向いています。反対に、短期間の市場分析と経営判断だけに集中したい人は、戦略専門ファームやKPMG内の戦略チームと比較して応募先を決めるべきです。
リスクを踏まえた変革に関心がある人
金融や公共、ヘルスケアなど規制の多い業界で働いてきた人、内部監査やセキュリティに関わってきた人は、KPMGの強みと経験が重なります。慎重さだけでなく、制約の中でどう事業を前へ進めるかを考えられる人が活躍しやすいでしょう。
経歴別に見るKPMGコンサルティングへの転職
事業会社の企画・管理部門
経営企画、事業企画、経理、人事、調達などの経験者は、社内で進めた改革をコンサルティングの実績として整理します。制度や業務を知っているだけではなく、経営と現場の意見をどうまとめ、どの数字を変えたかが評価されます。
一つの会社で長く働いてきた人は、他社でも使える考え方を説明できるようにします。「自社ではこうしていた」ではなく、課題を見つけた手順、選択肢を比べた基準、関係者との合意の作り方を話せれば、経験に再現性が出ます。
SIer・ITコンサルタント
システム企画、要件定義、プロジェクト管理の経験は、テクノロジー変革の部門で生かせます。ただし、使った製品と開発工程の説明だけでは、総合ファームへ転職する理由が弱くなります。
クライアントの経営課題をどう理解したか、業務側の要望をどう整理したか、投資額に見合う効果をどう考えたかを示します。上流へ仕事を広げたいなら、技術の答えを出す前に、そもそも何を変えるべきかを考えた経験が評価されます。
金融・監査・リスク管理
金融機関のリスク管理、事業会社の内部監査、監査法人のアドバイザリーなどの経験は、KPMGらしいリスク・ガバナンス案件と重なります。法令や基準に詳しいことに加え、事業部門が運用できる仕組みへ落とした経験を伝えます。
監査で問題を指摘した経験だけでなく、改善案を作り、現場に定着させた経験があると強みになります。KPMGコンサルティングでは、正しさを示すだけでなく、経営と現場を動かす役割まで求められるからです。
他のコンサルティングファーム
同業からの転職では、職位と専門領域が主な論点です。同じシニアコンサルタントでも、担当した案件の規模、チーム管理、提案活動の経験によって評価は変わります。
転職理由は、現在の会社への不満ではなく、KPMGで広げたい仕事を中心にします。リスクと変革を組み合わせたい、特定業界で専門性を深めたい、構想から定着まで関わりたいなど、移ることで初めて実現できることを説明します。
入社後のキャリアと退職後の選択肢
KPMGコンサルティングでは、担当領域の専門性と、プロジェクトを動かす役割の両方を広げていきます。若手は調査、分析、業務設計から始め、シニアコンサルタントになると論点とメンバーを管理します。マネジャー以上では、顧客責任者との合意、案件の採算、人材育成、次の提案まで担当します。
長く働くなら、特定業界やテーマで名前を覚えてもらい、顧客から相談を受ける専門家を目指します。KPMGジャパン内の別法人と協働する案件や、海外メンバーと働く案件を通じて、専門性を隣接分野へ広げることもできます。
退職後は、事業会社の経営企画、DX推進、リスク管理、内部監査、情報セキュリティなどが主な選択肢です。マネジャー以上であれば、変革責任者や部門長として採用される可能性もあります。どの出口が開くかはKPMGの名前だけで決まらず、担当した業界、テーマ、実行まで担った範囲で変わります。
応募前に確認したいポイント
第一に、所属法人を確認します。KPMGコンサルティング、KPMG FAS、あずさ監査法人のアドバイザリーでは、似た求人名でも仕事が違います。
第二に、応募部門の案件構成を確認します。戦略と書かれていても、短期の経営戦略が中心なのか、業務・システムの変革まで長く入るのかで働き方は変わります。
第三に、採用職位と期待される役割を確認します。年収だけでなく、入社直後から何人のチームを持つのか、提案活動をどこまで担うのかを聞いておくと、入社後の評価とのずれを減らせます。
KPMGコンサルティングの中途採用
KPMGコンサルティングの経験者採用は部門別です。まず求人を選び、書類選考、適性検査、複数回の面接を経て内定に進みます。面接回数やケース面接の有無はポジションによって変わります。
第二新卒向けの採用枠もあり、就業経験3年未満、在籍企業2社以下などの条件が示されています。社会人経験が短い人は、通常の経験者採用だけでなく、第二新卒の募集も確認するとよいでしょう。
書類選考で見られること
職務経歴書では、担当業務を並べるのではなく、自分が変えたことを書きます。たとえば「基幹システム刷新に参加」だけでは役割がわかりません。「営業20部門の要望を整理し、対象機能の優先順位を決め、予定どおり移行した」と書けば、調整力と成果が伝わります。
数字で示せる成果があれば、売上、費用、期間、人数などを入れます。守秘義務がある場合は、正確な社名や金額を書かなくても、規模と変化がわかれば十分です。
職務経歴書のまとめ方は、次の記事で詳しく解説しています。
Webテスト
選考ではWebテストが行われることがあります。計数、言語、論理の問題は、形式を知らないまま受けると時間が足りません。応募を始める前に、KPMGで使われる形式を確認し、問題集を一冊決めて繰り返します。
面接とケース面接
通常の面接では、転職理由、KPMGを選ぶ理由、希望部門を選んだ理由、これまでの実績を聞かれます。KPMG FASやほかのBig4ではなく、なぜKPMGコンサルティングなのかを答えられるようにします。
ケース面接がある部門では、限られた情報から課題を分け、仮説を置き、実行できる施策まで考える力が見られます。きれいなフレームワークを出すことより、相手の質問を聞きながら考えを直せる人が評価されます。KPMGのケース面接は、次の記事で例題と進め方を紹介しています。
KPMGコンサルティングへの転職を成功させるポイント
最初に決めるべきなのは、KPMGコンサルティングに入ることではなく、入社後に扱いたい課題です。戦略、業務改革、テクノロジー、リスクでは、求められる経験も選考の内容も変わります。
次に、前職の経験をKPMGの案件へ置き換えます。メーカーの生産管理ならサプライチェーン改革、金融機関の内部監査ならリスク・ガバナンス、IT部門のクラウド移行ならテクノロジー変革というように、経験と応募部門をつなぎます。
コンサル転職では、同じ経歴でも応募する部門と職位によって通過率が大きく変わります。複数のファームを比較しながら応募順を決めたい人は、コンサル業界に詳しい転職エージェントも選択肢になります。
まとめ
KPMGコンサルティングは、戦略、業務、テクノロジーに加え、リスクとガバナンスに強みを持つ総合ファームです。KPMG FASとは別法人であり、応募時には会社名と部門の両方を確認する必要があります。
年収水準は高く、中途入社者も多い一方、部門によって案件の内容と働き方はかなり異なります。自分の専門性をどの経営課題に使いたいのかを決め、職務経歴書と面接で具体的な実績を伝えることが、内定に近づく基本になります。

