戦略コンサル会社ランキング・Tierの見方|年収・特徴・転職難易度を比較
戦略コンサルは、企業の経営陣から依頼を受けて、全社戦略や新規事業、M&A、組織の立て直しといった会社の行方を左右する課題に答えを出す仕事です。少人数のチームで数か月ほどの案件を回すことが多く、年収の水準も高いので、事業会社や総合コンサルからの転職先として根強い人気があります。
ひと口に戦略コンサルといっても、欧米で生まれた大手、総合ファームの中の戦略部門、日本で創業したブティックと、ファームの顔ぶれはさまざまです。得意な業界やテーマ、会社の成り立ちもそれぞれ違い、外からは位置づけがなかなか見えません。
そこで就活や転職の情報サイトでは、各社をランキングやTierで比べる見方がよく使われます。ブランドの強さ、案件の規模、採用の難しさ、報酬の水準をもとに、ファームをいくつかの段に分けて並べる考え方です。公式の順位表があるわけではないものの、業界の序列をつかむ目安として定着しています。序列を押さえたうえで各社の得意分野まで知っておけば、応募先を絞るときに迷う場面はだいぶ減ります。
戦略コンサルの就活偏差値ランキング
就活偏差値(就職偏差値)は、企業への入りにくさや人気を、大学受験の偏差値になぞらえて数字にしたものです。匿名掲示板から広まった非公式の指標ですが、いまは多くの就活サイトが独自のランキングを載せていて、コンサル業界の序列をひと目でつかむ材料になっています。代表的な戦略ファームの就活偏差値は、次のとおりです。
- 【77】マッキンゼー・アンド・カンパニー
- 【76】ボストン コンサルティング グループ(BCG)
- 【75】ベイン・アンド・カンパニー
- 【74】Strategy&(PwC)、オリバー・ワイマン
- 【73】ローランド・ベルガー
- 【72】経営共創基盤(IGPI)
- 【71】A.T. カーニー、ドリームインキュベータ(DI)
- 【70】アーサー・D・リトル(ADL)、L.E.K.コンサルティング
- 【68】アクセンチュア(戦略)
- 【67】コーポレイト ディレクション(CDI)
出典:就活の教科書
偏差値の数字は媒体ごとに違いますが、マッキンゼー、BCG、ベインの3社が最上位に並ぶ点は共通しています。
戦略コンサルのTierランキング
Tierとは、業界での位置づけが近いファームどうしをまとめた段のことです。転職市場では、次の3段に分けるのが一般的です。
| Tier | 主なファーム |
|---|---|
| Tier1 | McKinsey & Company、Boston Consulting Group(BCG)、Bain & Company |
| Tier2 | Strategy&(PwC)、Kearney、Roland Berger、Arthur D. Little(ADL) |
| Tier3〜ブティック | Oliver Wyman、L.E.K. Consulting、Monitor Deloitte、EY-Parthenon、アクセンチュア(戦略コンサルティング)、KPMGコンサルティング(Strategy & Transformation)、ドリームインキュベータ(DI)、経営共創基盤(IGPI)、コーポレイト ディレクション(CDI)、YCP、フロンティア・マネジメント、P&E Directions |
Tier1の3社は、頭文字をとってMBBと呼ばれます。知名度、案件の規模、採用の難しさのどれをとっても最上位で、全社戦略や組織改革など経営トップの課題を扱う案件が中心です。Tier2は欧米で創業した歴史の長いファームで、調達、製造業、技術経営のように得意領域がはっきりしています。Tier3〜ブティックには、金融やヘルスケアに強い外資のファーム、総合ファームの戦略部門、日本で創業したブティックが入ります。投資や事業再生、M&Aまで自社で行う会社が多いのもこの段です。
段の切り方は、媒体によって少しずつ違います。ADLをMBBと同じ外資系大手の枠に入れる一覧もあれば、DIやIGPIと同じ段に置く新卒向けの一覧もあり、Big4の戦略部門をまとめてTier2に入れる分類も見かけます。上の表は、中途転職の市場での評価をもとにした当サイトの分け方です。
戦略コンサル各社の特徴
戦略ファームは、どこも企業の経営課題を扱います。そのうえで、得意な業界やテーマ、会社の成り立ち、事業の組み立て方には、ファームごとの違いが大きく出ます。独立したパートナーシップを続けるファームもあれば、総合ファームのネットワークの一部として動く組織や、投資や事業再生にも踏み込む日系の会社もあります。
Tier1(MBB)
McKinsey & Company

戦略コンサルの代表格で、全社戦略や組織改革といった経営トップの課題に強いファームです。1926年、シカゴ大学で管理会計を教えていたジェームズ・O・マッキンゼーが創業しました。1971年に開いた東京オフィスは同社にとってアジアで最初の拠点で、いまは東京と関西にオフィスがあります。日本では、自動車、ハイテク、金融、医薬品の業界を中心に支援しています。
組織は、自動車、先端エレクトロニクス・半導体、金融サービスなどの産業別グループと、デジタル、マーケティング、オペレーションなどの機能別グループの二つの軸でできています。所属オフィスに関係なく世界中の案件に入るOne Firm Policyも特徴です。近年はデジタルと実行支援の専門組織を厚くしてきました。代表的なのが、2015年に2,100人の専門家で立ち上げたMcKinsey Digital、同じ年に買収したロンドン発のAI企業を母体とするQuantumBlack、企業変革と再生の実行を担うRTS、新規事業を立ち上げるLeap by McKinsey(グローバルでは2025年にMcKinsey Business Buildingへ改称)です。
社風の土台には、のちにマネージング・ディレクターとなるマービン・バウワーが1936年に打ち出したobligation to dissent(反対意見を述べる義務)という価値観があります。コンサルタントは、クライアントに対しても社内でも、自分が正しいと考えることを主張するよう求められます。配属は辞令で決まるのではなく、関わる業界やテーマを自分で選んでキャリアを組み立てる仕組みで、一人ひとりにキャリアの相談役としてPDマネジャーが付きます。
Boston Consulting Group(BCG)

MBBの中で最も早く日本に進出したファームで、日系大企業との付き合いの深さでも知られています。1963年にブルース・ヘンダーソンが創業し、戦略を専門とするコンサルティングという分野を切り開きました。1966年には世界で2番目の拠点として東京オフィスを開いています。国内の拠点は東京、名古屋、大阪、京都、福岡の5か所です。
経営理論の発信にも力を入れています。事業の組み合わせを市場成長率とシェアで整理する成長・シェア・マトリックスは、ヘンダーソンが1970年のエッセイで広めたBCG発の考え方です。2022年には、戦略シンクタンクであるBCGヘンダーソン研究所の日本拠点も設けました。
いまのBCGで存在感が大きいのが、テクノロジーの開発とデザインを担うBCG Xです。エンジニア、科学者、デザイナーなど3,000人近い専門家が所属し、プロダクトやAIの仕組みを実際に作ります。日本の経験者採用も、経営コンサルタントと、Technology and Digital Advantage領域の経営コンサルタントの二つに分かれています。デジタルやAIを経営の論点として扱ってきた人や、東京以外の都市で働きたい人には、選択肢の多いファームです。
Bain & Company

Bainの持ち味は、クライアントの成果への強いこだわりと、プライベートエクイティ(PE)案件の多さです。1973年にビル・ベインがボストンで創業し、1982年に東京オフィスを開設しました。創業時から「Results, not reports」を掲げ、報告書を納めることより、クライアントが実際に成果を出すことを重んじてきました。報酬の一部を成果に連動させる契約を使うのも、その考え方の表れです。
PEの分野では、世界の大手PEファームの約8割と仕事をしてきました。2000年以降に世界で行われた5億ドル超のバイアウト案件の半数以上に関わり、PE向けの支援は投資前のデューデリジェンスから買収後の企業価値向上まで、投資のサイクル全体に及びます。投資ファンドや事業会社のM&A部門で、買収の判断や買収後の立て直しに関わってきた人なら、前職の経験がそのまま生きます。
コアバリューの一つがOne Teamで、チームで成果を出す文化が根づいたファームです。顧客ロイヤルティの指標として広く使われるNPS(ネット・プロモーター・システム)も、Bainが生み出しました。
Tier2
Strategy&(PwC)

独立した戦略ファームとしての長い歴史と、PwCの専門家と組める体制をあわせ持つファームです。前身は1914年にシカゴで設立されたブーズ・アンド・カンパニーで、経営コンサルタントという言葉を初めて使ったことでも知られます。1970年代のクライスラー再建や、1980年代のサプライチェーン・マネジメントという概念の開発も、100年を超える歴史の中で積み上げてきた実績です。2014年にPwCのネットワークに加わり、現在の名前に変わりました。
日本での所属は、PwCコンサルティング合同会社のストラテジーコンサルティング部門です。この部門はStrategy&、X-Value & Strategy、Future Design Labの三つの組織からなり、X-Value & Strategyは経営課題の把握から解決までを一貫して支援します。同じPwCの戦略職でも、どの組織に入るかで仕事の範囲は変わります。監査、税務、ディールの専門家と組んで案件を進められる点は、ほかのTier2の3社にはない強みです。
Kearney

調達とオペレーションの領域で長く評価されてきた老舗の戦略ファームで、戦略を描いたあとも変革の実行まで支援を続けます。1926年にシカゴで創業し、2026年に100周年を迎えました。日本オフィスは1972年の開設で、約330名が在籍しています。日本法人の社名はA.T. カーニー株式会社で、国内ではいまもこの名前で呼ばれることがよくあります。
中核の調達領域では、調達パフォーマンスの改善や供給管理プロセスの改革を、それぞれ独立したサービスとして持っています。調達やサプライチェーン、生産の現場を知っている人なら、その実務経験が戦略案件の中心テーマになります。業界プラクティスも自動車・モビリティ、化学、金融機関、ヘルスケア、宇宙・航空・防衛、プライベート・エクイティなど幅広く、日本オフィスは16のプラクティスで構成されています。
パートナーの理想像は、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの三つを兼ね備えたBTC人財です。
Roland Berger

製造業に強いドイツ発の戦略ファームです。自動車・商用車、電池、資本財、化学、エレクトロニクスと、業界を細かく分けて扱っています。1967年にミュンヘンで創業し、いまもパートナーが全株式を持つ独立したパートナーシップを続けています。日本オフィスは1991年に、アジアで最初の拠点として開設されました。
もう一つの強みがクロスボーダーのM&Aです。過去10年で250件以上のM&Aや財務アドバイザリー案件を支援し、その多くが国境をまたぐ案件でした。日本企業による欧州企業の買収や提携、欧州市場への進出といったテーマで存在感があります。自動車や部品、素材・化学のメーカーで事業企画や海外事業を担ってきた人には、前職の経験を直接使える案件の多いファームです。
Arthur D. Little(ADL)

世界最初の経営コンサルティングファームとして知られ、いまは技術経営(MOT)の分野で特に高い評価を受けています。得意とするのは研究開発戦略、技術戦略、新規事業の創出です。1886年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の化学者アーサー・デホン・リトルがボストンで設立しました。科学研究を産業の課題に応用するところから始まり、いまも人、技術、戦略を結びつけることを軸にしています。日本法人の設立は1978年です。
技術とイノベーションの経営を扱うTechnology & Innovation Managementは、グローバルの正式なプラクティスです。メーカーの研究開発部門や技術企画で働いてきた人は、専門知識をそのまま戦略の仕事に持ち込めます。日本でも、自社の技術から新事業の基盤を導くIPF・TPFや、1999年に開発したMFTといった独自のフレームワークを使ってきました。
Tier3〜ブティック
この段は顔ぶれがいちばん多彩で、外資の戦略ファーム、総合ファームの戦略部門、日系のブティックでは仕事の進め方もかなり違います。総合ファームの戦略部門は、同じ法人のM&Aやテクノロジーの専門家と組める点が独立系との大きな違いです。Monitor DeloitteやEY-Parthenonのように、もともと独立していた戦略ファームが総合ファームに加わってできた組織もあります。戦略系と総合系の仕事の範囲の違いは、次の記事で詳しく比べています。
Oliver Wyman

金融サービスを最大の強みとする戦略ファームで、リスク・保険、再保険、人事・資産運用を事業領域とするMarshグループの一員です。同じグループには再保険のGuy Carpenter、人事・資産運用のMercerがあり、Oliver Wymanは現在、新たに拡大したMarshブランドの一部に位置づけられています。
金融の中でも、法人向け銀行業務、保険・資産運用、ウェルス・マネジメント、デジタル資産と分野を細かく分けて案件を進めていて、金融サービスの領域には日本代表を含む複数のパートナーがいます。アクチュアリー・コンサルティングやリスク管理もサービスに含まれ、金融機関のリスク管理や規制対応は、戦略ファームの中でも特に強い領域です。銀行や保険会社でリスク、財務、数理を担ってきた人は、その専門知識を戦略の仕事に持ち込めます。
L.E.K. Consulting

ロンドン発の独立系戦略ファームで、ライフサイエンス・ヘルスケアの案件とPE向けの支援を得意としています。一つのオフィスから始まり、40年以上かけて世界27拠点に広がりました。日本での注目産業は、医薬品・ライフサイエンス、医療機器、消費財、産業財の4分野です。製薬会社や医療機器メーカーで事業開発やマーケティングを担ってきた人には、有力な候補になります。
PE向けの仕事には30年以上の実績があり、投資対象の特定からデューデリジェンス、投資先の価値向上、エグジットまでを支援しています。PE関連のプロジェクトは年間400件を超え、短い期間で市場と事業の見通しを立てるビジネスデューデリジェンスの経験を積める環境です。
Monitor Deloitte

デロイト トーマツの戦略コンサルティングブランドで、成長戦略と価格戦略を軸にしています。戦略策定の枠組みは、どこで戦いどう勝つかを段階的に決めるStrategic Choice Cascadeです。価格戦略では、独自の最適価格導出アルゴリズムを使うPricing as a Serviceというサービスも持っています。
ルーツは1983年創業のモニターグループです。2013年にデロイトが買収し、日本では2018年に事業を再開しました。2025年12月1日にはデロイト トーマツのコンサルティングなど3法人が合併して合同会社デロイト トーマツが発足し、Monitor Deloitteのメンバーもこの新法人に属しています。M&Aやリスクの専門家と同じ法人の中で連携できるのが強みです。
EY-Parthenon

EYの戦略とM&Aトランザクション支援をまとめたブランドで、投資や事業再編の判断に近い戦略案件が多いのが特徴です。もとは1991年に設立された戦略ファームのパルテノンで、2014年にEYの傘下に入りました。日本では2025年7月1日、EYストラテジー・アンド・コンサルティングが戦略コンサルティングとトランザクション支援を統合し、EY-Parthenonのもとで一貫して支援する体制に切り替えています。
戦略立案とM&A、事業売却、コーポレートファイナンスの機能が同じブランドの中にそろっている点が、ほかの戦略ファームとの大きな違いです。ただ、戦略担当とトランザクション担当では日々の仕事の中身がかなり違い、どちらのチームに入るかで身につく専門性も変わります。投資銀行やPE、事業会社の経営企画でM&Aに関わってきた人なら、これまでの仕事の延長で戦略案件に取り組めます。
アクセンチュア(戦略コンサルティング)

アクセンチュアの戦略コンサルティングの強みは、戦略を描いたあとのシステム構築や業務の運用まで、同じ会社の中で担えることです。扱うテーマは企業戦略と成長、オペレーティングモデルと組織設計、Transaction Advisory、Technology Strategyなどで、AIやテクノロジーの活用を前提にした戦略案件が目立ちます。
組織としては、2025年9月1日付で戦略、コンサルティング、テクノロジーなど5つの事業を統合したReinvention Servicesの中にあります。IT投資やデジタル変革を経営判断として扱う案件が多く、SIerや事業会社のIT部門、DX推進部門で働いてきた人が戦略の仕事に移る入口にもなっています。
KPMGコンサルティング(Strategy & Transformation)

KPMGコンサルティングの中で戦略案件を担うのが、幅広い業種とテーマを扱うStrategy & Transformation(ST)です。ST内で最も人数の多いStrategy and Value Innovation(SVI)は、特定の分野に絞らず、グループ経営、全社戦略、M&A、新規事業の創造までトップマネジメントの課題を扱います。
STには、テーマを絞ったスペシャリティチームも二つあります。モビリティを起点にしたエコシステムづくりと地域のDXを扱うMobility Ecosystem Strategy(MES)と、Next Generation Utility(NGU)です。自動車や移動サービスの分野で働いてきた人の経験は、MESでいちばん役立ちます。
ドリームインキュベータ(DI)

コンサルティングを提言で終わらせず、事業をつくるところまで手がける日系のファームです。事業機会を見つけて戦略を描き、パートナーや技術、資本、人材を結びつけて事業化まで進めるビジネスプロデュースと、投資事業のインキュベーションが事業の二本柱です。数千億円規模の事業創造の支援を軸にしてきました。
2000年に堀紘一氏が「ソニーやホンダを100社つくる」という理念を掲げて創業しました。東証プライム市場の上場企業でもあります。大企業の新規事業を構想から事業化まで担いたい人や、事業投資に関心のある人は、候補に入れておきたいファームです。
経営共創基盤(IGPI)

企業再生の知見の厚さに定評があり、ハンズオンでの支援を基本にするファームです。自社のプロフェッショナルが経営から現場の要所まで入り込み、戦略の立案から組織全体の変革までを担います。必要と判断すれば出資や成功報酬型の支援も組み合わせ、クライアントとリスクを分け合います。
2007年に冨山和彦氏が設立しました。冨山氏はBCGを経てコーポレイト ディレクションの代表取締役となり、その後は産業再生機構のCOOを務めた人物です。社内には製造業に特化したものづくり戦略カンパニーがあり、支援領域は企業変革、資本市場対策、M&A、製造業支援、新規事業開発にまで広がっています。経営者に近い立場で事業の立て直しに関わりたい人や、将来は事業会社の経営を担いたい人と相性のよいファームです。
コーポレイト ディレクション(CDI)

日系の独立系戦略ファームの草分けで、経営戦略の立案と実施を支援するほか、M&Aに関わる戦略的提言や仲介も行います。新事業の立ち上げも老舗企業の再生も支援してきた実績があり、戦略とM&Aの両方を一社で経験できる環境です。
1986年1月、BCGにいた吉越亘氏と同僚たちが、日本初の独立・自立の経営・戦略コンサルティング会社をめざして設立しました。IGPIを設立した冨山和彦氏も、かつてCDIの代表取締役を務めていました。上海、ベトナム、シンガポールにも関連会社を置いています。
YCP

コンサルティングと自己資金による投資の両方を、一つのグループで行う会社です。事業は、アドバイザリーサービスと、投資先に資金や専門人材、オペレーション支援を提供するプリンシパル投資事業の二つで成り立っています。
2011年にゴールドマン・サックス証券出身の石田裕樹氏が創業しました。2013年から2014年にかけてシンガポール、上海、香港、バンコクに相次いで拠点を設けるなど、早い時期からアジア展開に力を入れてきました。2021年12月には当時の東証マザーズ市場に上場しています。投資先の経営に入り込む仕事もあるので、コンサルタントとして身につけた力を事業の運営に使いたい人に向いています。
フロンティア・マネジメント

戦略の立案とあわせて、M&Aの実行や事業再生、経営の執行支援まで自社で担えるのがフロンティア・マネジメントの特徴です。経営コンサルティング、経営執行支援、M&Aアドバイザリー、事業再生の4つを事業の柱に据え、事業承継のコンサルティングも行っています。
設立は2007年、代表取締役は大西正一郎氏で、東証プライム市場に上場しています。財務・会計、事業再生、M&Aの実務を戦略の仕事と組み合わせたい人なら、MBBと並行して検討する価値があります。
P&E Directions

戦略を描くことと、その実行を支えることの両方を重んじる日系のブティックです。社名のPとEは、計画策定(Planning)と実行支援(Execution)の頭文字です。成長段階も規模もさまざまな企業を支援していて、顧客数は500社超にのぼります。戦略案件の比率は70.5%、経営トップが関わるトップマネジメント案件の比率は71.2%です。
2001年9月に、アップルコンピュータ、BCG、ICGジャパンを経た島田直樹氏が設立しました。コンサルタント1人が年間に担うプロジェクトは平均6.1件、扱う業界は平均4.1業界で、短い期間のうちに多くの業界と経営テーマを経験できます。
戦略コンサルの年収ランキング
戦略コンサルの年収は、コンサル業界の中でも高い水準にあります。報酬は職位ごとに段階的に決まっていて、アナリスト、アソシエイト、マネージャー、プリンシパル、パートナーと昇進するたびに一段ずつ上がります。中途採用では、前職の経験がどの職位で評価されるかで提示額が大きく変わります。
各社の平均年収を、Tier1のMBB、Tier2、Tier3〜ブティックの順に並べると次のようになります。
| ファーム | 平均年収 |
|---|---|
| Boston Consulting Group(BCG) | 1,640万円 |
| McKinsey & Company | 1,525万円 |
| Bain & Company | 1,434万円 |
| Kearney | 1,630万円 |
| Arthur D. Little(ADL) | 1,444万円 |
| Roland Berger | 1,374万円 |
| Oliver Wyman | 1,880万円 |
| ドリームインキュベータ(DI) | 1,174万円 |
| YCP | 1,163万円 |
| L.E.K. Consulting | 1,150万円 |
| 経営共創基盤(IGPI) | 1,137万円 |
| コーポレイト ディレクション(CDI) | 1,076万円 |
| P&E Directions | 990万円 |
| フロンティア・マネジメント | 989万円 |
出典:OpenMoney
総合ファームの戦略部門であるStrategy&、Monitor Deloitte、EY-Parthenon、アクセンチュア、KPMGの5つは、所属する会社全体の平均年収で見ます。
| 会社 | 平均年収 |
|---|---|
| PwCコンサルティング | 1,071万円 |
| KPMGコンサルティング | 1,001万円 |
| EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 997万円 |
| 合同会社デロイト トーマツ | 991万円 |
| アクセンチュア | 932万円 |
出典:OpenMoney
Tierが上のファームほど、平均年収もおおむね高めです。MBBとKearney、Roland Berger、ADLは1,300万〜1,600万円台、日系のブティックは1,000万円前後から1,100万円台で、総合ファームは会社全体で見ると1,000万円前後にとどまります。
年収に差が出る理由
年収の差を生む理由の一つは、職種の違いです。戦略ファームは社員の大半がコンサルタントで、平均年収はほぼコンサルタントの水準です。総合ファームの数字は会社全体の平均なので、システムの開発や運用、業務の受託など、給与水準の違う職種の人も多く含まれます。戦略部門のコンサルタントに限れば、年収は会社全体の平均より高くなります。
もう一つの理由が、クライアントから受け取る報酬の単価です。コンサルティングの料金は、多くの場合、案件に入るコンサルタントの職位ごとの単価と人数、期間で決まります。戦略ファームが受けるのは、全社戦略やM&A、事業の立て直しのように、経営陣の大きな判断がかかった案件です。判断を誤ったときの損失が大きいので、クライアントは高い料金を払ってでも実績のあるファームに頼みます。少人数のチームで受け取る高い単価が、そのまま社員の報酬の原資になるわけです。一方、システム導入や業務改善のように多くの人数で長い期間をかけて進める案件では、1人あたりの単価はどうしても低くなります。
単価が高いぶん、求められる品質も上がります。平均年収が上位のファームでは、数週間から数か月の限られた期間で、経営陣がそのまま意思決定に使える水準の分析と提言を出すのが当たり前です。数字の一つひとつ、資料の一枚一枚までマネージャーやパートナーが細かく見て、クライアントの役員の前で通用するまで何度も作り直します。高い年収は、この水準のデリバリーを続けることへの対価でもあり、評価の厳しさや繁忙期の忙しさにもつながっています。
戦略コンサルの転職難易度
戦略コンサルの中途採用は、一般にTierが上がるほど難しくなります。どのファームでも選考の中心はケース面接で、論点の整理から結論までを面接官と議論しながら組み立てる力が、何度かの面接を通して問われます。そのうえで合否を大きく左右するのが、応募する枠と自分の専門の重なりです。
MBBでも、専門性を問う選考があります。McKinseyは職種によって専門性そのものを問うExpertise Interviewを面接に加え、BCGはTechnology and Digital Advantage領域を別の募集にしています。総合ファームの戦略部門にも、PwCの3組織やKPMG STのスペシャリティチームのように複数の入口があり、どの枠に応募するかで職務経歴書の書き方も変わります。
ブティックでは、事業モデルと自分の経験の接点が志望理由の軸になります。事業再生やM&Aを柱とするフロンティア・マネジメントやCDIなら財務やM&Aの経験、ビジネスプロデュースや投資を手がけるDIやYCPなら事業開発や投資の経験が、面接で語る主な材料です。ケース面接の対策の進め方は、次の記事にまとめています。
戦略コンサルのランキングに関するよくある質問
MBBの3社は何が違いますか?
3社とも経営トップの課題を扱う点は同じで、違いは組織の作りと得意分野に出ます。McKinseyは産業別・機能別のグループにデジタルや実行支援の専門組織が加わる大きな組織で、全社戦略や組織改革に強みがあります。BCGは日本での歴史が最も長く、国内5拠点と開発組織のBCG Xを持っています。BainはPE案件の多さと、成果に連動した報酬契約が特色です。
Tier2のファームはMBBと何が違いますか?
規模とブランドではMBBに次ぐ位置づけで、得意領域がはっきりしているのがTier2です。Kearneyの調達とオペレーション、Roland Bergerの製造業とクロスボーダーM&A、ADLの技術経営のように、ファームごとの強みが案件の中身に表れます。Strategy&はPwCの一員で、監査、税務、ディールの専門家と組める点が独立系の3社と違います。前職の専門がファームの得意領域と重なれば、MBBよりも経験を生かせる場面は多くなります。
Tierが下のファームのほうが受かりやすいですか?
受かりやすさは、Tierより、自分の経験とファームの事業モデルの重なりで決まります。IGPIやフロンティア・マネジメントの事業再生、DIの事業投資のように得意とする仕事が明確なファームほど、求められる経験も絞られます。MBB向けの対策をそのまま使うのでは足りず、そのファームの事業に自分の経験がどうつながるかを具体的に話せるかどうかが決め手です。
年収がいちばん高いのはどこですか?
平均年収で見ると、Oliver Wyman、BCG、Kearneyの3社が1,600万円を超え、McKinsey、ADL、Bain、Roland Bergerが1,300万〜1,500万円台で続きます。日系のブティックは1,000万円前後から1,100万円台です。同じファームでも職位によって年収は大きく変わるので、オファーを比べるときは同じ職位どうしで見たほうが実態に近くなります。
戦略コンサルの仕事内容や職位、年収の決まり方といった基礎は、次の記事で解説しています。
まとめ
戦略コンサルのランキングは、MBBを頂点に、欧米の老舗ファーム、ほかの外資系ファームや総合ファームの戦略部門、日系のブティックと段を分けて見るのが一般的です。就活偏差値やTierは業界の序列をつかむ目安になりますが、同じ段の中でも、得意な業界やテーマはファームごとに大きく異なります。
年収もおおむねTierに沿って高くなり、その背景には案件の単価と、求められる品質の違いがあります。応募先を選ぶときは序列だけで決めず、自分の経験がどのファームの得意分野と重なるかをあわせて考えると、選考でも入社後でも前職の経験を強みにできます。

