コラム

戦略コンサルのケース面接・フェルミ推定の評価基準は?【元MBBが解説】

戦略コンサルファームへの転職を考える際、「ケース面接」や「フェルミ推定」の対策は避けて通れません。これらの面接は、ほぼ合否を左右すると言っていいほど重要です。しかし、どのような評価基準で見られているかを理解せずに対策を進めても、時間や労力が無駄になってしまう可能性があります。

この記事では、ケース面接やフェルミ推定で面接官が具体的に何を重視しているのか、そして評価基準に沿った効果的な準備方法について解説します。さらに、実際の解答例を参考に、面接官の視点を把握しながら自分の弱点を補強するヒントもご紹介します。これらを踏まえ、しっかりと対策すれば、独特な戦略コンサルの面接でも自信を持って臨めるようになるはずです。

フェルミ推定とケース面接とは何か

フェルミ推定とケース面接は、戦略コンサルの選考でよく出される面接方式です。

フェルミ推定では、たとえば「国内にあるコンビニの店舗数はどれくらいか」など、正確なデータがない問題に対して、大まかな数値を論理的に見積もります。
データがない中でいかに構造化し論理的に計算していくことで近しい値を算出することができるかが重要になってきます。

架空の企業課題や実在するビジネス上の問題について、原因や対策を考えるプロセスを通じて、候補者の問題解決能力を見ます。ここでは、どんな観点から問題を分解し、どの情報を重点的に考え、最終的にどんな提案をまとめるかが問われます。

両者に共通しているのは、「答えよりも考え方が重視される」という点です。論理性や柔軟性、相手への伝え方などが評価の鍵となります。

ケース面接・フェルミ推定で見られるポイントと評価基準

外資系戦略コンサルファームの面接は「地頭が求められる」とよく言われますが、それは具体的にどのような能力を指すのでしょうか。
各ファームによって細かな違いはあるものの、多くの戦略コンサルが共通して評価しているのは、「問題解決力」と「コミュニケーション力」という2つの軸です。

具体的にあ以下のような内容です。

問題解決力

構造化力
課題を正しく理解し、必要な情報や要素を整然と整理する能力が求められます。たとえば、市場、顧客、競合、収益構造など、問題解決に必要な観点を漏れなく洗い出すことが重要です。

論点・仮説思考力
問題の本質はどこにあり、何が成功のカギになるのかを短時間で見極める必要があります。論点を明確にし、優先順位をつけて深掘りすることで、より戦略的なアプローチを示せます。

インサイト
顧客行動や市場背景を踏まえ、有用な示唆(インサイト)を引き出す力も評価されます。単純な分析ではなく、「だから、この戦略が有効」といった意味づけができるかどうかがポイントです。

思考スピードと柔軟性
限られた時間で素早く計算・判断し、異なるアプローチやアイデアを自由に出せるかも重要です。素早く頭を切り替え、新たな仮説を立てられる柔軟性が求められます。

コミュニケーション力

プレゼンテーションスキル
自分の考えをわかりやすく整理し、シンプルな言葉で相手に伝えられるかが問われます。複雑な思考プロセスも、聞き手が理解しやすい順序と表現で説明できる能力が評価されます。

コーチャビリティ
面接官から追加情報やヒントをもらったとき、素直に受け止めて思考を更新できるかがポイントです。意固地にならず、情報を活かして議論を発展させる姿勢は高く評価されます。

プロフェッショナリズム
態度や言動が礼儀正しく、相手に敬意を示しながら自分の意見を主張できるかも見られています。信頼感を与える、落ち着いたコミュニケーションが望まれます。

評価項目に沿った回答NG例

これまで私が指導した生徒さんのNG回答例として使わせて頂きます。
最初は合格水準に届かなかった人でも正しいやり方を習得することで合格レベルまでもっていくことができます。

フェルミ推定のNG回答例

スターバックスの1日の売上を求めてください。といった問題を想定しNG回答例を紹介していきます。

「スターバックスの1日の売上は、
 席数 × 稼働率 × 回転率 × 単価 × 営業時間
で計算できます。
40席 × 80%稼働 × 1回転/時 × 700円 × 12時間
= 27万円です
以上で回答は終わりです。」

上記の回答はどこがNG例ポイントなのか解説します。

  • イートインのみに限定している
    この計算式では店内での飲食(イートイン)しか想定されていません。しかしスターバックスにはテイクアウトやデリバリーなど、さまざまな販売方式があります。これらを無視すると、実際の売上を正しく推定できなくなります。
  • セグメント分けがない
    平日・休日や時間帯、顧客層によって稼働率や単価は変動します。朝は通勤時間帯のビジネスマンがコーヒーだけを買う、昼は食事利用としての利用が多い、夜の時間帯は仕事や勉強をするために利用する人が多い、といったような形時間帯によって利用者の客層、ニーズが異なっています。
    これらの違いを考えずに一括で計算してしまうと式に思考が行き届いていないとみなされ通過する可能性がかなり低くなります。

 

高い評価を得るためのおすすめの対策方法

高い評価を得るためには、まずケース面接やフェルミ推定でよく使われる思考の型を理解することから始めましょう。時には実際に受かった人に意見をもらいながら型を固めていくことも重要です。

そのうえで、何度も反復練習をすることも重要です。実際のケース面接ではかなり早いスピードで議論が行われます。そのため覚えただけでは身に着けることは難しく実際にアウトプットの練習を積むことが重要です。

実際に受かった人にスピード感やアウトプットのクオリティを見てもらうことで面接通過率を各段に上げることができます。