戦略コンサルファームでは一般的に候補者を「ケース面接」と「ビヘイビア面接」の2軸で評価します。
一般的に就職・転職を目指す際、多くの候補者がケース面接対策には力を入れますが、意外と見落とされがちなのが「ビヘイビア面接」と呼ばれる一般質問の対策です。
「ほとんどケース面接できまるため対策をする必要はない」という話も聞いたことがある人もいるかと思います。
本記事では、戦略コンサルの面接で求められるビヘイビア面接の概要から、その重要性や評価ポイント、そして効果的な対策方法までを徹底解説します。ロジック面だけでなく「人としての魅力」をアピールするための手法を押さえることで、内定獲得への可能性を高めることができます。
ケース対策をしっかり行った方であっても、人柄やビジョンが明確でなければ最終面接で足切りとなることもあります。ビヘイビア面接は「この人と一緒に働きたい」と思わせられるかどうかを左右するため重要です。
戦略コンサル面接で求められる「ビヘイビア」面接とは?
戦略コンサルの面接では、論理的思考力やケース対応力だけでなく、「ビヘイビア」面接と呼ばれる手法を通じて候補者の人柄や行動特性を掘り下げます。これは、過去の具体的な行動や実績を振り返る中で、候補者が大切にしている価値観や仕事に対する姿勢、問題解決力、リーダーシップの取り方、チームワークへの向き合い方などを明らかにするものです。
実際に困難な状況でどのような行動をとったか、そこから何を学び、次にどう活かしたかといった「行動原理」や「改善サイクル」が重視されます。また、経験したエピソードはできるだけ定量的な成果や具体的なプロセスを示すことで、より説得力を持たせることができます。
例えば以下のような質問が来ます
- 「志望動機を教えてください」
- 「戦略コンサルティングファームに入社したい理由を教えてください」
- 「将来のキャリアプランを教えてください」
- 「過去の仕事において苦労した経験を教えてください」
- 「強みと弱みを教えてください」
- 「リーダーシップを発揮した経験を教えてください」
こうした質疑応答を通じて、単なる知識やスキルでは測りきれない「どのような人間としてプロジェクトを動かし、周囲を巻き込み、成果につなげられるか」が厳しく見られます。
一般的な就職活動においてはこのビヘイビア面接だけが行われるケースが多いですが、戦略コンサルファームならではのエピソードや内容に作りこむ必要があります
マッキンゼー対策では、自分が主体となってどのように組織を動かしたか、目標達成に向けてどう仲間やステークホルダーを巻き込んだかといった「リーダーシップ体験」を複数用意しておくとよいでしょう。
戦略コンサルの面接におけるビヘイビア面接の重要性
戦略コンサルの面接ではケース面接が評価の中心となるためビヘイビア面接の重要性は相対的に下がります。
コンサルティングファームはクライアントを公開することができないこともあり各社の違いが公開情報だけだとわかりづらいため、特になぜ御社であるか?といった質問について聞かれることは少なくOB訪問や企業分析の重要性は低いといえます。
一方である程度のロジックの通った解答をしなければ通過することは難しいと考えています。
ビヘイビアが良いから受かるというよりも足切り要素としてビヘイビア面接を行っているというイメージが良いでしょう。つまり、ケースで高評価を得ても、ビヘイビア面接で「この人とは一緒に働きたくない」と思われれば即不合格ということも珍しくありません。最低限、業界や職務への意欲、仕事への向き合い方などをわかりやすく伝える準備は必須です。
戦略コンサルタントは、クライアントのビジネス上の難題を解決するため、チームメンバーや顧客企業、時には現場スタッフなど、多様な人々とやり取りしながら価値を創出します。クライアントワークでは、高い知的能力やロジカルシンキング以上に、人間的魅力や柔軟なコミュニケーション、主体的な行動力が不可欠です。
そのためビヘイビアの対策は最低限行っていく必要があります。
また、ファームによって重要度が異なります。
マッキンゼー
マッキンゼーはすべての面接においてビヘイビア面接が設定されています。また、時間配分としても半分程度と他ファームと比較してもかなり重要視されているため、マッキンゼーを志望する場合はビヘイビアの重要度は高くなります。
また中途の場合は面接回数も多く毎回別のエピソードが求められるため、エピソードを複数用意し、想定問答集を作っておくと、本番で落ち着いて回答しやすいでしょう。
その他戦略ファーム
その他ファームについてはほぼ聞かれないor聞かれても形として一応聞いている程度のレベル感です。
特に1次面接、2次面接まではほぼケースで評価されると考えていただいて間違いないと思います。
一方ファームによっては最終面接では深く聞かれる可能性があります。そのため面接が進むにつれてビヘイビア面接を仕上げておくことは重要です。
総合ファーム
総合ファームについては戦略ファームほどではないもののビヘイビアが重視される傾向にあります。
特に私自身Big4を受けたときになぜ他でなくうちなのか?という質問が来たため驚いたのを覚えています。時間としても時間の半分程度がビヘイビアで使われるため1次面接からそれなりに対策していくことが重要です。
総合ファーム志望の場合、社風やコンサル以外のサービス領域とのシナジー、チーム構成・案件特性への理解などを交えた志望動機が求められることがあります。特に「なぜここなのか」を自分なりに明確化しておくとスムーズに答えられるでしょう。
ビヘイビア面接で評価されるポイント
コンサルに行く気がありそうか?
志望動機や将来のキャリアプラン等の質問がこれに当たります。
「戦略をやりたい」「ビジネスサイドにいきたい」等ふわっとした解答をすると面接官によってはゴリゴリ突っ込まれるので具体性をもってしっかりと話せるか、コンサルタントになった際の解像度が高いかなどは見られています。
具体的な業界・テーマ・スキルアップ目標などを挙げ、自分なりに明確なゴールや興味分野を示し具体的な説明ができれば説得力が高まります。
コンサルタントとして活躍できそうか
これまでの仕事でしっかりと成果を出してきたかを確認する質問になります。
「これまでのプロジェクトで苦労した経験は?」「リーダーシップを発揮した経験は?」といった質問などが代表的です。
特にマッキンゼーではリーダーシップの経験を求められるため複数のエピソードを用意しておくことが必要です。
マッキンゼー以外のファームでもリーダーシップを発揮して自身が主体となって課題解決をした経験は一定評価されます。全ファームを受ける方にこのリーダーシップ対策をすることをおすすめします。
業界知見はあるか?
「やりたい業界は?」「これまでかかわってきた業界は?」という質問がよく来ます。
ファームによって変わりますが実際入社すると、面接で伝えた希望とは全く異なる業界にアサインされることは珍しくないですが、ある程度意思を持っておくことは重要です。
またそれに付随して「その業界の課題は?」「その業界は今後どうなっていくと思う?」といった質問もよく来ます。こういった質問にある程度こたえられるように準備はしておきましょう
ニュースやレポートを参考に、現状の課題、競合環境、規制動向、テクノロジーの影響などを簡潔にまとめ、さらに「この課題に対して自分ならこう取り組みたい」という戦略的な視点を加えると効果的です。
ビヘイビア対策のやり方
ビヘイビア対策はある程度頻出問題を解くことは大事ですが、他の人に第三者的なアドバイスをもらうことも重要です。
施策がありきたりすぎる、だれでもできそう、といったつまらない話をしても刺さらないことが多いため、刺さる話をするための組み立て方やエピソード設計などを手伝ってもらうことが良いでしょう。
特に実際にコンサルティングファームに内定した人からアドバイスをもらうことでコンサル特有の観点をインプットすることができます。
また、模擬面接を通じて客観的なフィードバックを得るのも有効です。自分では「わかりやすい」と思っているエピソードでも、第三者から見ると論点が不明瞭だったり、アピールポイントが弱かったりする場合があります。定量的な成果、具体的な行動プロセスなどを追加で織り込み、面接官が「なるほど、この人はしっかり考え、行動できる」と感じるよう工夫しましょう。