コラム

ボストンコンサルティンググループ(BCG)でうつ病になる人はなぜ多いのか?なった人の末路と対策を解説!

ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、世界でも指折りの戦略コンサルティングファームとして知られ、数多くのグローバル企業の経営課題解決や組織改革、新規事業の立ち上げ支援などを手がけています。そうした環境には、大きな達成感や自己成長の機会がある一方で、超ハードな労働環境と厳しい成果プレッシャーが常に存在すると言われています。実際、BCGに在籍していた/しているコンサルタントの中には、精神的な負荷が限界を超えてしまい、うつ病やその手前の状態を経験する人も少なくないのが現実です。

BCGでの働き方と職場環境

短期集中・高負荷なプロジェクトスタイル

BCGでは、経営戦略や新規事業開発、M&A、DX推進など、スケールが大きい課題を短期間で分析し、戦略を立案するプロジェクトが多く走っています。これらの案件は2〜3か月という比較的短いスパンで成果物を出すことが求められ、プロジェクトチームは数名から十数名で構成されるケースが一般的です。
プロジェクトの開始と同時に、情報収集やデータ分析、インタビュー調査などを短期集中で進め、最終的には経営陣へのプレゼン資料や施策提案書にまとめ上げる必要があります。深夜遅くまでデータを分析したり、クライアントとの打ち合わせが連日続いたりするため、慢性的に長時間労働になりがちです。若手のコンサルタントであっても、膨大な量のスライド作成やミーティングアジェンダ策定を任されるので、深夜や週末返上が常態化することがあります。

若手にも大きな責任が与えられる

BCGでは、新卒や転職直後のコンサルタントでも、クライアント企業の役員クラスとの折衝に立ち会ったり、部門長レベルの意思決定をサポートしたりするシチュエーションが珍しくありません。これは、1年目・2年目といった若手であってもアウトプットの質やスピードを高い水準で求められることを意味します。
若手であってもアイデアやロジックが認められれば、プロジェクトリーダーやパートナー陣と直接議論して提案を進めるチャンスが生まれます。しかし、その反面、自己裁量と責任が大きく、一歩間違えれば重要な決定プロセスを遅延させたり、クライアントの不満につながったりする恐れもあります。こうした「優秀であること」が前提の環境下で働き続けるのは、大きなプレッシャーとなり得るのです。

多国籍クライアントや海外出張の可能性

BCGは世界各地にオフィスを構えており、日本法人も海外チームとの連携プロジェクトを抱えることが多いです。場合によっては、海外のクライアントの本社や工場に数週間から数か月滞在し、現地の経営幹部と議論を重ねることもあります。時差のある環境でやり取りを続けるうえに、現地の生活様式に慣れながら高水準のパフォーマンスを発揮するのは、身体的にも精神的にも負担がかかります。
また、国内案件であっても地方や海外との往復が頻繁に発生したり、早朝や深夜の電話会議で1日のスケジュールが不規則になるケースもあり、プライベートや休息の時間が少なくなりがちです。

チームワーク重視のためのコミュニケーション負荷

BCGでは、チーム全体のアウトプットを最適化する「コラボレーション」が重視されます。若手が作成したスライドをプロジェクトリーダーがレビューし、さらにパートナーやクライアント側の経営層がコメントを加えるといった多段階のフィードバックプロセスが存在します。これは品質向上には効果的ですが、同時にコミュニケーションコストが嵩む要因ともなります。
メール、チャット、会議、レビューセッションなどを通じて、多数のメンバーと絶え間ないやり取りを続けることで、精神的にも消耗が激しくなるでしょう。

BCGでうつ病になる主な原因

超ハードな労働環境

プロジェクトが短期集中であるほど、コンサルタント一人ひとりの稼働時間は長期化しやすいです。夜遅くまで進捗を追いかけ、翌朝はクライアント先で早朝ミーティングがあるなど、睡眠不足や生活リズムの乱れが常態化する例も少なくありません。
特に忙しいタイミングが続くと、週末にオフィスに出てプレゼン資料を作り直したり、大量のデータを分析しきれないまま次の週に突入したりと、常に追われる状態になります。休みがほとんど取れない期間が続けば、身体的疲労とともに精神的な負荷が増大し、うつ症状が出始めるリスクが高まるでしょう。

求められる期待値の高さ

BCGは外資系戦略コンサルの中でもトップファームの一つであり、クライアント企業側も最高水準のアウトプットや提案を期待します。社内でも、「いつどのような場面でも質を落とせない」という文化が根付いており、新卒・若手であってもプロフェッショナルとして責任を果たすことが当たり前とされています。
また、“アップ・オア・アウト”という厳しい評価制度の存在が強調されることも多く、一定期間で成果を出せなければ昇進ができない、あるいは退職せざるを得ないという雰囲気が精神的プレッシャーを増幅します。一度でもミスや期待値未達が続くと、「次のプロジェクトでも結果を残せなければ肩たたきになるのでは」といった不安と焦燥感が募り、うつ病に至るケースが見られます。

上司からの激しい“詰め”

プロジェクトリーダーやパートナーは、クライアントを満足させるうえで厳しい目線でロジックや数字の整合性をチェックします。論理にわずかな穴や曖昧さがあれば、徹底的に問いただされ、短時間で論点を洗い出して修正を求められるため、いわゆる“詰められる”状態に陥りやすいです。
プレゼン資料や提案書をレビューされる場面では、若手コンサルタントが「なぜこの数値なのか」「その根拠をすぐに示せるか」といった鋭い質問に答えきれず、落ち込んだり自分を責めたりする場合があります。しかも、上司だけでなくクライアント側の経営層からも同様の厳しいフィードバックが重なると、精神的に追いつめられ、うつ病リスクが上昇する要因になるのです。

うつ病になった際の対応策

稼働を減らす

最初の選択肢としては、プロジェクトマネジャーや上司に相談して一時的に稼働を減らすことが考えられます。プロジェクトチームは常に人手不足に陥りやすい状況ではあるものの、明確に医師やカウンセラーからのアドバイスがあれば、一定期間の稼働調整を認める企業も少なくありません。
稼働を減らすことで、深夜勤務や週末出社を制限し、睡眠や食生活を整える時間を確保できます。心身の状態が軽度の不調の段階で早めに対処するほど、回復の可能性は高まるでしょう。

別のプロジェクトに移動する

現在のプロジェクトの性質が合わない、もしくは上司・チームメンバーとの相性が大きなストレスになっている場合は、プロジェクト異動を人事部やパートナーに相談する手段があります。BCGでは複数のプロジェクトが同時並行で進んでいるため、タイミングが合えば別チームへの移動が認められるケースも。
たとえば、長期海外出張がメンタルに負担となっているコンサルタントが国内案件に移る、ハイプレッシャー案件続きだった人が比較的余裕のある案件に切り替わるなど、配置転換によって一時的に負荷を下げることが可能です。ただし、企業全体のリソース状況やタイミングが合わないと実現しにくいというデメリットもあります。

休職する

うつ病の診断を受けた場合には、医師の判断を基に一時的に仕事から離れるという選択が現実的になることもあります。BCGのように外資系企業であっても、法定の休職制度やメンタルヘルスケア支援の仕組みを整備していることが多いため、休職期間中に給付金を受け取りながら治療・休養に専念するパターンが考えられます。
休職中の復職支援プログラムや産業医との相談を通じて、少しずつ業務に復帰する「リワーク」制度がある場合もあります。無理に仕事を続けるより、一度休んで回復を最優先するほうが長期的には望ましいケースも多いです。

退職する

どうしても環境が合わなかったり、症状が深刻化してしまったりした場合、最終的な選択肢として退職を検討することになります。BCGでの経験や実績があれば、転職先やキャリアチェンジの可能性は広く開かれていますし、フリーランスやスタートアップ支援などを含め、新たなフィールドに挑戦する人も少なくありません。
うつ病を発症し、回復に長期的な時間を要する場合は、退職して一旦心身を休ませ、回復した後に別の道へ進む方が結果的にキャリアロスを最小限に留められるケースもあります。「これ以上は限界」と感じたら、勇気を持って退職という選択肢を取ることも否定すべきではありません。

激務に耐えることが必ずしも良いわけではない

BCGのような戦略コンサルティングファームは、激務・高プレッシャー・厳しい評価文化が重なり、うつ病に至るリスクが高まりやすい環境だと指摘されることがあります。短期集中型のプロジェクトが連続し、長時間労働や厳しいフィードバック、そして高い期待値が常にのしかかるため、心身のケアが後回しになりがちです。
しかし、万が一うつ病の兆候が出てきた場合には、稼働調整やプロジェクト変更、休職・退職などいくつかの対処法が存在します。早めに周囲へ相談し、専門家や企業内のメンタルヘルス制度を活用できれば、症状を重篤化させずに回復を目指すことも十分可能です。BCGのようなハードな環境であっても、自分のキャリアや健康を両立させるためには、「まずはメンタル面の異変を見逃さない・放置しない」という意識が重要だといえます。

もし現在BCGなど戦略コンサル業界で働いていて、うつ病の症状や強いストレスを感じるようであれば、できるだけ早い段階で人事部門や信頼できる上司、同僚と状況を共有し、医療機関の受診も検討してください。自分自身が健康でなければパフォーマンスを維持することは難しく、結果としてキャリア全体にも悪影響を及ぼします。限界を感じる前に、対策とサポートを求める行動を起こすことが、自分の将来を守るうえで何より大切です。

戦略コンサルという刺激的なフィールドで得られる成長は大きい一方、そこに伴う負荷も無視できません。もし無理を続けて心身に限界が来たと感じたら、勇気を出して上司や医療機関に相談し、場合によっては休職や転職という選択を視野に入れることも大切です。BCGで培った能力は決して無駄にはならないため、安心して健康を最優先に行動し、自分にとってベストなキャリアパスを模索してほしいと思います。